11月の驚くほどあたたかい昼下がり、1歳次男がベビーカーで寝始めた。
乗り換えの駅だったが、なんとなく一同休憩というムードが流れる。5歳長男は駅前の商業ビルのエレベーターに乗りたいという。そのエレベーターは全面ガラス張りで外側から箱が上下するのが見える、彼にとって一番魅力のタイプなのだ。
「屋上にいこう。Rはあるかな」
一番上「R」には何があるのか。駐車場も魅惑の空間らしく、私たちはありとあらゆるショッピングモールの駐車場階に行ったことがある。車を持っていないのにである。
その商業ビルの屋上はフットサル場になっていた。人工芝と走り回る人を眺め、また降りてきた。
少し歩いて、スターバックスコーヒーのテラス席でお茶をする。
今日もスマートな注文ができなかったなぁ、と振り返る。レジでメニュー表を舐めるように眺めた挙句フリーズし、「冷たくて甘くない、ミルクが入った紅茶を飲みたいのですが…」と謎掛けのような質問をしてしまった。
以前覚えた「イングリッシュ ブレックファストのティーラテ、ノンシロップで」を使い回して乗り切ってきたが、ティーラテはホットのみという問題が立ちはだかった。今日は暑い。
親切な店員さんは一瞬考えた後、「普通のアイスティーにミルクを入れるのがいい」と教えてくれた。私は感謝してこのオーダーを確実に覚えようと息巻いたが、よく考えるとめちゃくちゃ普通である。
無数のメニューと豪華トッピングに目移りし謎に悩んでしまうが、実はどこにでもあるシンプルなオーダーで十分だったのだ……
11月ももうすぐ終わるのに、外のデジタル温度計は21度を示していた。
テラス席はちょうど良い涼しさで、夫はアイスコーヒー、長男はりんごジュース、私はアイスミルクティーを飲みつつぼんやり。通りの向こうで、さっき乗ったエレベーターの箱が上下している。
なんということもない休日の、名もなき時間。静かにゆっくり満たされる。
いろんな選択肢がありすぎて途方に暮れそうになる時があるけれど、本当にしっくりくるのは、シンプルで地味なものかもしれない。
雲の流れがとても早くて、ずっと見ていられる感じがした。
Sweet+++ tea time
ayako
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