インスタを眺め、フェイスブックを眺め、誰かのすてきな生活に羨ましさを感じてしまう。生活感のないおしゃれな暮らしにため息がでる。まわりが皆んな楽しそうに映る。そんな経験、誰しも一度はあるかもしれない。
だが、SNSは常に虚構を孕み、写真はトリミングして隠された部分に真実がある。
それを決して忘れてはならない。
先日、清澄白河で声をかけられた。
「もしかしてブログを書いている方ですか?」
色白で華奢、とても可愛らしい女性が目の前に立っていた。
とうとう、とうとうこの日が来てしまったのだ…
ちなみに私はブログに自分の顔を載せていないが、なぜわかったのかといえばおそらく、家族三人のシルエットだろう。
生後2ヶ月の王子、王子をスリングに入れた夫、私。清澄白河という狭い街でこんな背格好の三人組、よくブログを読んでくださっている方にはわかると思う。
あともう一つ。
それは私が同じ服を着すぎているということにある。
この青ストライプの服。比喩じゃなく毎日のように着ていた。着たきり雀とはまさに私のこと、ブログにも度々この服を着た私が登場している。
読者の方に声をかけられたその日も当然この服。制服か。恥ずかしさしかない。
二年ほど前にイベントを開いたときもそうだったが、私のブログの読者さんは本当にすてきな方ばかり。そのとき声をかけてくださった方も、とても可憐で優しい雰囲気だった。
ブログを楽しみにしてくださっているのみならず、オンラインショップで刺繍アクセサリーも購入してくださったことがあるという。到着後、メールもくださった方だった。
こんな人に読んでもらっているなんて幸せだなぁ…!
ああ、これで話が終われたらどんなによかっただろう…
ごちゃごちゃと書き連ねてきたが、単刀直入に言おう。
私、そのとき外で焼き鳥食べてたんですね。
テーブルにはネギマとビール。東京下町の小汚い椅子で、無心で焼き鳥ほおばってたんですね。
この清澄白河おしゃれブログの著者にあるまじき実態である。3年半、日々せっせとおしゃれな雰囲気づくりに邁進してきた私の、現実が丸っと暴かれた瞬間であった。
なぜカフェじゃなかったのか。iki espressoとかブルーボトルコーヒーとか、笑えるほどおしゃれなカフェが連なるこの街で、なぜよりによって焼き鳥を食べてるシーンで、素敵な読者さんに目撃されてしまったのか。
「は、恥ずかしすぎたよッ!」
読者の方と束の間のご挨拶を終えたあと、私は大騒ぎである。
「ayakoさん、街で声をかけられるなんてすごいねぇ」
呑気に感嘆している夫に畳み掛ける。
「いやすごいとか言ってる場合じゃないから、めちゃくちゃ焼き鳥食べてたから。しかも今コンディション最悪なんだよ私、まだ産後体型でデブだし、本来の私はあと5キロ以上痩せてるし、美容室行けてないから髪ボサだし、てかお化粧も全然ちゃんとしてないし、なによりこんなとこで焼き鳥食べてるし」
話は焼き鳥に戻ってくる。
いや念のためいうのですが、ここの焼き鳥は本当に美味しいです。小汚い椅子とか書いちゃってますがほんとに素敵なお店です。
さらに念のためいうのですが、私が外で焼き鳥ビールとかやってるの、二年に一回くらいしかないですから。いつもはおしゃれなカフェにいますからッ!
「うわぁ〜ayakoさんてあんなデブで焼き鳥食べてる人なんだ〜って思われたらどうしよう?!」
読者の方は別にどうも思ってないことは間違いないんですが、ひとり大騒ぎしていた私。自意識過剰である。
するとそんな私を前に、夫はフッと安堵した表情を浮かべてこう言った。
「僕はちょうど今朝、美容室に行ってきたからよかったよ」
なぜかこのブログの主役意識を持つ夫であった。
(あの日の読者さんが今日も読んでくれていますように)
Sweet+++ tea time
ayako
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