日光の街を三歳〇歳と半泣きで全力疾走した話

【子連れ旅の教訓】

時間の余裕はあり過ぎてもあり過ぎるといことはない。

 

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三歳〇歳との子連れ日光旅も二日目。唯一の観光も終わり、あとは帰りのスペーシアに乗るだけだった。

東武日光駅へ向かって、街並みを楽しみつつ三歳長男と何キロも歩き続け、そろそろ疲れたなぁというところで、魅力的なカフェの看板が現れた。

鉢石と書いて「はついし」と読むらしい。

小道を少し奥に入ったところにある、素敵な佇まいのお店。湯沢屋という老舗和菓子屋(日光で有名な酒まんじゅうのお店)に併設された和カフェで、明治・大正時代に造られた蔵をリノベーションした空間だ。

テラス席があったので、ベビーカーを置かせていただき、お茶をすることに。

冷たいお抹茶と抹茶入りソフトクリーム、長男には冷たい緑茶をオーダーし、しばし休憩。ああ、至福。長男もリュックから電車図鑑を取り出し、のんびりと座っている。

このときはまだ、穏やかなひとときだと思っていた。

いま何時、ここは何処

ここでふとスマホを見ると、スペーシアの発車時刻40分前であった。おや…?思ったより時が経ってるね?

それではとGoogleマップを確認すると、東武日光駅まで徒歩15分であった。あれ…?思ったより進んでないね?

しかし残り時間は40分で徒歩15分。

一見するとちょうどいい流れとも思えるじゃないですか。しかしですね、皆さんご存知、Googleマップの徒歩15分というのは大人が本気出した時の理論上の時間である。現実20分くらいかかるじゃないですか。まして三歳とベビーカーも一緒だから25分くらいかかっても全然おかしくないわけですよ。

で、東武日光駅。到着してからスペーシアのホームまで行って乗り場でスタンバイしなきゃですよね。そんなことしてたらあっという間に5分くらい経過する。つまり、なんだかんだ移動に30分くらいかかると見るのが冷静な大人の判断というものである。

そして今、カフェにいる。注文したばかりのスイーツが来るのに、10分ほど待つのは至極あり得る展開である。むしろ丁寧に作ってくださるお店なのだから当然だ。

残り40分、駅まで歩く時間30分、スイーツ来るまでの時間10分。

40-30-10=0

ソフトクリームを吸い込むしかない。

次男起きる

緊張する我々に追い討ちをかけるように、生後四ヶ月の次男が覚醒した。

思えば朝から授乳もできていない。手書きで色まで塗った旅のしおりでは、午前中に訪れた日光田母沢御用邸記念公園の授乳室を利用する予定だった。しかし思いのほかすぐに散策が終わってしまい、授乳時間がずれてしまった。

今のところご機嫌で笑っているが、いつお腹が空いていることに気づかないか知れない。赤ん坊とは恐ろしくも可愛い爆弾なのである。

スイーツこない、赤ちゃん起きた、時間がない。

我々は完全に追い詰められていた。

抹茶ソフトクリームが到着

正直ね、想定以上に待ちました。だけどね、想像以上に美味しかった。控えめに言って絶品だった。上品な抹茶と、上質なソフトクリームが舌の上で絶妙に混ざり合う。観光地のよくあるチープな抹茶ソフトなんかとは全然違う食べ物ですよ。

冷たいお抹茶の苦味と、アイスクリームのまろやかな甘味。それらの絡み合いを、ゆっくりと味わいながらいただきたい。そんな絶品スイーツをですね、

文字通り、吸い込みました。

泣きたい。ほんとに泣きたい。美味しい。泣きたい。めちゃくちゃ美味しい。泣きたい。冷たい。舌が痺れているが時間はない。もっと優雅に食べたいッ!(自業自得)

「行こうッ!走ろうッ!」

抹茶とソフトクリームを秒で吸い込んだ我々はお会計を済ませ、駅までの道のりを走り出した。全力で走った。スペーシアに乗らなければ。せっかく予約した貴重な個室を逃したら、予約を取り直したところで普通席、帰りは地獄のように大変なのは目に見えている。すでに赤子はギャン泣きだ。もう後戻りはできない。Googleマップの「徒歩15分」に勝負を挑む。勝つしかない。

運動会であれ体育の授業であれ、こんなにも本気で走ったことがあるだろうか?否である。危機迫っていた。我々は完全に、謎の生き物に追われる映画の主人公だったし、爆破予告を止める使命を負ったドラマの主人公だった。

スペーシアを餌に突然走らされて困惑する三歳、満を持して号泣し出した〇歳、穏やかな週末の日光街道を顔面蒼白で走る四人組、それが我々だった。

20分後の写真をご覧ください

こんなにも心から安堵したことがあっただろうか。

文字通り髪を振り乱して走ったので頭はボサボサであるが、最高の笑顔で写真が撮れた。

発車時刻のリアル1分前くらいにホームに滑り込み、車両を選ぶ余裕もなく一番近い扉から飛び乗った。全員半泣き、もとい次男は大泣き、怒涛の数十分を経て、スペーシア個室でやっと落ち着けた最高の瞬間である。

すっかりご機嫌です

後で振り返れば完全にタクシーを使うべき旅であったし、冷静になればいくらでも優れたプランや解決策が思いつく。だがあのときは、吸い込み、走るしかなかったのだ…

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【子連れ旅の教訓】

時間の余裕はあり過ぎてもあり過ぎるといことはない。

一緒に走ってくれた三歳長男には感謝しかないし、反省しかない。それでもなんとか夢のスペーシアで鉄道旅を叶えられた。思い出の一つになったらと願うばかりである。

日光旅行記はおしまい!

旅行は当分こりごり…という気持ちであったがなんと、この三週間後にもまた鉄道旅を控えている我々であった。

サフィール踊り子に乗ったGW伊東旅も今度書きたい!

Sweet+++ tea time
ayako

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