鍋への愛が止まらない

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縁遠い世界というのがある。

デパコス。タッチアップ。季節の新色。クリスマスコフレ。華やかで甘やかなコスメにまつわるあれこれに、未だかつて足を踏み入れたことがない。

読者の皆さんはお察しかと思うが、お化粧品にあまり、というか全く興味がない私である。

じゃあすっぴんで過ごしているのかといえば全くの逆で、ほぼ毎朝お化粧をしている。産後一ヶ月を覗いて基本的に毎日。

私にとってお化粧とは、洗濯とか風呂掃除のようなものなのだ。

毎日の生活に組み込まれているが、特段の興味もときめきも感じない分野。快適に暮らしていくためにちゃんとやるけど、それ以上でも以下でもない分野。

洗剤がなくなれば買い足すが、嬉々としてあれこれ試したいとは思わない。春だからクリスマスだからといって、特別な洗剤で風呂を洗いたいとは思わない。そんな感じといえば伝わるだろうか。

それゆえに私の持っているコスメはストイックなまでに必要最低限であり、口紅も一種類、チークも一種類、ファンデーションももちろん一種類、なくなるまでずっと使う。終われば買い足すが、人からもらったものがあればそれを、なんとなくドラッグストアで買ってもよい。肌が荒れなければ何でも。

もちろんデパートで自分用のお化粧品を買ったこともなければ、美容部員さんにメイクをしてもらったこともないし、季節はおろか、服の色に合わせてアイシャドウの色を変えたりすることもない。

そういえば二年以上毎日使っている唯一のチークが、最近とうとう限界を迎えつつある。底は完全に見えていて、四隅にかろうじて残った部分にしつこくブラシを当てる日々。わさびのチューブを捻り出すのと何ら変わりない精神がそこにはある。

「いい加減チーク買わなきゃ…」とここ数ヶ月ずっと思っている(のにそこから数ヶ月もつのだからチークはすごい)気づけばファンデーションも眉毛描くやつもまたなくなってきて、あ〜買うのもったいない…などとケチケチ思っている。これは完全に、洗剤が尽きてきたときと同じ感覚である。詰め替えって意外と高いよね場所も取るし。は〜生きていくって大変だ…

*・*・*

 

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人は、自分が価値を感じるものにお金や時間や空間を使う。

この当たり前の事実を、私の貧相な化粧ポーチとてんこ盛りのキッチンが雄弁に物語っている。

*・*・*

 

正直に言おう。

読者の皆さんに、隠していることがある。

いや、何もこのブログに私のすべてをさらけだして書きますなどという約束をしたわけでもないし、何を書こうと書くまいと基本的に私の自由である。

鍋の話を別にすれば。

*・*・*

 

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理想の鍋を何年も探しているという話を書いた。

sweeteatime.hatenablog.com

紆余曲折を経てとうとう見つけたという話も書いた。

sweeteatime.hatenablog.com

これで私の鍋活は終了ですッ!と意気揚々とブログを締めくくっていた。

だが買い物の女神というのは皮肉である。探しているときは長いこと現れず、前髪しかないというから慌てて掴んだら、後ろ髪も全然ある。どころか悠然としたロングヘアー。

端的に言おう。

さらに二つ鍋が増えた。

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それもとびきり上品で可愛くて白地のホーローに木製の取っ手、繊細でおしゃれな植物柄という、もう20000000点満点の完全に好みど真ん中な理想の鍋が、突然インスタ広告に現れたのである。

インスタグラムの広告はすごい。彼らは私の好みを完全に熟知している。

いつまでたっても何度設定を変えても、追いかけるようにグロテスクな漫画広告を出してくるツイッターやグーグルとは大違いである(ゆえに私はツイッターの設定を男にし、自分のブログの広告は消した)

話は逸れたが、この美しい鍋を見ていただきたい。

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まるで私のキッチンに収まるために作られたかのようなしっくり感(と毎回言っているような気がしなくないが)

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Kaico + marja(カイコプラスマルヤ)というブランド。marja(マルヤ)というのはフィンランド語でベリーを意味するという。野いちごの繊細な模様がとにかく上品で素敵…

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日本製の丁寧で丈夫な作り。そう、これはヴィンテージの鍋ではなく、香川県の素敵なライフスタイルショップCONNECT(コネクト)が作った新しいお鍋なのだ。

古いものを集める楽しみもあるけれど、新しく素敵なものが、それも自分の住む国から生まれているという希望と喜びよ…

お鍋本体のデザインは小泉誠さん、イラストのデザインはヘイニ・リータフフタさん、日本とフィンランドの間で生まれた新しい美しさ。

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見つけたときの興奮は伝えられない。インスタグラムありがとう。コネクトさんありがとう。

欲しいなと思っていたミルクパンと、持ってるけどもう一つ欲しくなった大きめ両手鍋を購入した。

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ああ、かわいいね…

本当に素敵なのでぜひお店を見てみてほしいッ!

www.connect-d.com

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さて、こうして私のキッチンには五つの可憐な鍋が集結した。

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それぞれに出会いのドラマがあり、美しさと愛がある。みんな違ってみんないい。だが金子みすゞを引用している場合ではない。

どこにしまう気なのか。

どう考えてもコスメを集めるより部が悪い。リップは何本あったって引き出しに入るだろう。限定パッケージに浮かれてクリスマスコフレを買ったって、両手に収まるではないか。

なぜ鍋を集めてしまったのか。

それも恐ろしいことに我が家は東京下町の手狭マンション、愛するキッチンは収納の少ない壁付きだという点である。

しかし可能性はいつだって無限だ。好きなもののためなら西へ東へ。いや、現実には一歩も外に出ていないが、家の中で右往左往して、りんご箱を駆使する私。

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ご覧いただきたい。

この写真の中に、五つの鍋が見事収められている。

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壊れていて使えない備え付きオーブンの前に、木箱を置いて二つの鍋をディスプレイ。

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三つのコンロのうち二つは常に鍋。ミルクパンはロゴが見えるように立てかけた。

ちなみに全部かわいいから見せたくて、シンク下にしまうという選択肢はない。

ああ、なんていう眼福!!!

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というわけで、長々と書いてしまったが要するに、鍋はまた増えた、鍋活は終わらなかったという話である。

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さて、今日も四隅に張り付いたチークを削り取り、全然粉の出なくなった白粉をはたき、年中一色のアイシャドウを塗り、私は五種類の美しい鍋と元気よく過ごしていきたい。

皆さんの偏愛アイテムは、どんなものでしょう?

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Sweet+++ tea time
ayako

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▽鍋エッセイ第1話▽

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▽鍋エッセイ第2話▽

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▽化粧品のお買い物日記もある▽

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