クッキーを焼きたい。
でもオーブンがない。オーブンを置く場所はもっとない。しかし手作りクッキーが食べたい。
こうした思いに駆られた私は三月初旬のある夜「電子レンジ クッキー」と検索して衝撃を受けた。
電子レンジでも、作れるらしい…
レシピは世の中にいっぱいあると思うんですが、ここにはお菓子作りとは無縁の私が奮闘した記録を記しておきたい。
電子レンジで4回クッキーを焼いた。
うまくいったレシピ、なぜか失敗したもの、これだけはあると便利な道具、今思うとこうすればよかったということなどまとめておきたい。
めちゃくちゃ簡単そうなレシピで挫折した第一回
まずこのレシピでトライしてみたのが初回。
簡単!材料3つでできる♪ レンジクッキーのレシピ動画・作り方 | DELISH KITCHEN
小麦粉、砂糖、サラダ油だけなので、普段ごはんしか作らない私でも材料が揃っていた!
クッキングシートだけ入手し、家にあるものでさっそくトライ。
ヘラや泡立て器など当然持っていないため、大きめスプーンでとにかく混ぜる。薄力粉、砂糖、サラダ油。
だが全然緩いので型抜きなどできない。
(形から入る女である)
仕方ない、型のことは諦め、レシピの通り8等分して丸めて置く。ひどい見た目である。もうすでに嫌な予感しかしなかった。
だが、奇跡は…おこる……?
おきなかった。
レンジで二分、おぞましいものが完成した。(DELISH KITCEHNのせいではないのです…きっと私の何かがいけなかったのです…)
もう嫌だ…だから嫌なんだ…私はお菓子作りなんてもう一生やらないッ!
バレンタインデーの前日にお菓子を作るのが嫌すぎて泣いたことのある私である。人間には向き不向きというものがある。もうやめてしまえばいい。
だが原動力となるのはいつも欲望である。
食べたい。それも手作りのクッキーが食べたい。
世の中には美しくて美味しいクッキーが無数にある。デメルの箱は超絶可愛いし、もちろんクッキーは文句なしに美しく美味しい。
でも私は、小さい頃母と作った、ふつうに素朴なクッキーがどうしても食べたくなっている。手作りのクッキーの、特に焼きたてのあの柔らかい香ばしさ。どこにも売ってない。
第二ラウンド行くぞー!!!
クックパッドのレシピで、念願の手作りクッキーにありつけた第二回目
今度はこのレシピでバター入りのクッキーに挑戦することにした。
力づくで混ぜる
材料は薄力粉、バター、砂糖、卵。
バターを室温に戻すとか、粉類はふるってから後で入れてさっくり混ぜるとか、そういう基本の所作は何もない。だって知らなかったから。
脳裏にあるのはただひとつ。
貴重なバターをこんなにも大胆に使うのか…
料理でケチケチ使っている私には驚愕しかないお菓子作りの世界である。
ぜったいに、失敗できない…
冷蔵庫で冷やす
このレシピはいわゆる典型的なクッキーの作り方で、冷蔵庫で冷やす工程がある。
本当はもっと薄く伸ばしてそのままクッキーの型抜きができる厚さにすべきなんだけど、何も知らなかったのでこのあたりで冷やすことに。
電子レンジへ
今回も複雑な型はうまくいかず、手で丸めただけ。もう味さえ良ければなんでもいい!
レシピによれば電子レンジで3分程度、我が家の500Wのものだと3分20秒がベストであった。
緊張の中取り出すと…
震えた。
これは…もしかしてもしかすると…
クッキーでは…!?
興奮しすぎてクッキーを作っていたのにクッキーが出来上がって衝撃を受けるという謎の展開に。
トースターへ
2〜3分、香ばしさをプラス。
できた。
クッキーが焼けたッ!
とんでもなく美味しい
正直に言って見た目は残念じゃないですか。お店に売っているクッキーが朝お化粧した瞬間のピカッピカなら、こちらはもう真夏の公園で一歳児と遊び倒した夕方レベルのボロッボロである。
しかし人間もクッキーも見た目ではない。一口食べて感動した。
ああッ!これはまさに母が作ってくれたあの「おうちクッキー」の味ッ!!!
身悶えていると異常を察知した夫が飛んできて、高速で手を伸ばしてきた。食べ物に関わる時だけ動きが俊敏である。とはいえ普段は甘いものにはさして興味を示さない男だ。果たして…
「なにこれ、めちゃくちゃ美味しい…」
おうちクッキーの威力たるや、ラーメンつけ麺丼飯の大男をも軽々と虜にするのである。クッキー皿から口への往復運動がとまらない。
最低限の道具を揃え、星型クッキーに挑戦した第三・四回目
ご覧ください。
お菓子作りの道具がクッキングシートのみだったayakoさんが、上級者への階段を一段登ったことを。
タイガークラウン めん棒 ベージュ 250×33mm ケーキめん棒 250 小 天然木 ブナ 467
- メディア: ホーム&キッチン
(ずいぶん低い一段である)
薄く均一に伸ばせるというのは、それだけで素晴らしい。神の道具である。さらによくご覧いただきたい。
星のクッキー型を手に入れた。
貝印 KAI クッキー型 3個セット 星 Kai House Select DL-6404
- メディア: ホーム&キッチン
複雑な型じゃないので生地が多少うまくいってなくてもちゃんと抜ける。ありがたい。
そして道具というのは誠に素晴らしいものである。250万年以上前、初期人類が石器を手にして進化の足がかりとしたように、ayakoさんも木の棒と星型でここまで到達したのである。ご覧ください。
みんなで美味しく食べた。
気をぬくと失敗する
人生そのものである。
4回目の製作。電子レンジの回転皿に乗り切らなかった少量を、同じ3分20秒で加熱したらこのとおりである。
少し調子が上向きになったとウハウハしていると、神様はちゃんとブレーキをかけてくれるのだ…
クッキー奮闘記はまだまだ続く
欲望というのは、次から次へと生まれる。
もっと焼きたい。
もっと大量に食べたい。
おうちクッキーにとりつかれた私は、とうとう憧れのデロンギオーブンをポチってしまう。
デロンギ(DeLonghi) スフォルナトゥット・クラシック コンベクションオーブン EO14902J-W
- メディア: ホーム&キッチン
(オーブンレンジじゃなくて単体のオーブンだよ)
お菓子の本も熟読し、見た目もめちゃくちゃ美しい(当社比)クッキーが焼けるようになったんですが、それはまた別の話。
(今度オーブンレビューも書くよ〜!)
いつだって大事なのは、始めてみること、楽しむこと。
今あるもので何とか試せないかな?
正しい順序などなく、突然にして、準備が整わなくても始めてしまうからこそ、ワクワクの種は芽を出し伸び始めるのだ。
違うと思ったら、終わりにすればいい。枯れちゃうかもしれないし大樹になるかもだし、面白い花が咲くかもしれない。なんだって、小さな芽を見つけたら、ちょっと水やりをしてみるのは悪くないよね。
電子レンジでのクッキー作りまとめ
せっかくなので、少しは役立つことを。
世の中には無数のレシピやコツや道具があると思うんですが、私はこんな感じで楽しんだよ〜というまとめである。
レシピ
とにかくずっとこちらのレシピで作っていました(感謝しかない!!!)
500Wのレンジなら3分20秒。もしあれば、トースターに追加2〜3分いれると香ばしくなる。
最低限あるといい道具
▽生地を伸ばす棒▽
タイガークラウン めん棒 ベージュ 250×33mm ケーキめん棒 250 小 天然木 ブナ 467
- メディア: ホーム&キッチン
▽最初に砂糖やバターをすり混ぜる用▽
パール金属(PEARL METAL) パール金属 泡立て器 25cm ステンレス EEスイーツ D-4710
- メディア: ホーム&キッチン
▽粉類をさっくり混ぜる用▽
▽あると可愛い星型▽
貝印 KAI クッキー型 3個セット 星 Kai House Select DL-6404
- メディア: ホーム&キッチン
力づくで混ぜてもなんとかできるんですが、私のようにあまりにも何も知らない場合、工程を一つ一つ丁寧に写真で説明してくれる本があると、全然違うのは確か。
▽愛用する焼き菓子の本▽
- 作者:星谷 菜々
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 大型本
(最後はオーブンで焼くメニューだけど、生地を作る部分がとてもわかりやすくてよかった…焼き上がりがめちゃくちゃ綺麗になる)
おまけ
不思議なのは、上達だけが全てではないということである。
▽電子レンジの適当ぼろぼろクッキー▽
▽本を見て作ったオーブンクッキー▽
確かに後者の方が綺麗に焼けているし、なんなら味だって美味しい。
だが王子(一歳児の我が息子)は食べないのである。クッキーの見た目が綺麗になった途端、一口も食べてくれなくなった。なぜ!?
ぼろぼろの、パンみたいな形が安心したのかな。そんな意外性もお菓子作りの楽しさだよね!
美味しいと楽しいは、きっとつながってるよね。写真は今日のキッチンです pic.twitter.com/AxQolcKg0M
— ayako | 刺繍して書くひと (@Sweettteatime) 2020年4月11日
今日も私は私のためにお菓子を焼く。
Sweet+++ tea time
ayako
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