笛吹川フルーツ公園。
なんてメルヘンチックな響きだろう。
笛吹でそのまま「ふえふき」と読む。どうしても勝手にブレーメンの音楽隊を思い浮かべてしまう、笛吹市にある巨大な公園。「フルーツ」が付くのはやっぱり果物の名産地だから?
タクシー運転手さん曰く、公園内を周遊するロードトレインに乗るのがおすすめということで、乗り場近くで降ろしてもらう。
激しい雨が降ってきた。トレインの発車時刻まで1時間弱。とりあえず屋根がある謎の空間で、子どもたちは昭和な乗り物に乗る。
雨が上がり、長男は目の前のじゃぶじゃぶ池で遊び出した。
絶景の贅沢すぎる空間。
「ママも一緒に入ろう」と何度も誘われるも、日傘をさして屋根の下、断固として動かぬ私、36歳。思い出より日陰。大人になるってつまらないことだ。とにかく暑くて絶望的な気持ちで見守る。
しかし最後に靴下を履かせるため決死の覚悟で近寄ったら、冷たい水が気持ちよさそう。突然入りたくなり、靴を脱いで突然一緒にじゃぶじゃぶし出す36歳。
「ロードトレイン出発するよ!」
夫が呆れていた。大人の計画性がほしい。
チョコレート色の可愛いロードトレインに乗って、公園内の「わんぱくドーム」へ。
ドームに入ってすぐ、思った。
なぜ、私はここが冷房でキンキンの空間だと思い込んでいたんだろう?
事前にホームページなどでリサーチしてから来たのであるが、見た目的に完全なる冷房を期待していた。思えばどこにもそんなことは書いてなかったし誰からも言われていない。しかし勝手に涼しいと想定していた。思い込みとは恐ろしいものだ。
一応風が抜けるので温室のように熱が籠るわけではないが、全くもって涼しくはない。普通に暑い。じっとしているとめちゃくちゃ暑い。
ドーム内には二ヶ所に冷風機のようなものがあり、冷たいミストが放出されていた。遊具で遊ぶ笑顔の子どもたちと、定期的に冷風機の前に立つ無表情の親たち。みんな、夏休みお疲れ様です!
さて、ドームの真ん中には穴があり、謎の下り階段があった。
地下にちょっとした何かがあるのか。暑すぎて極力動きたくないのでのぞきもしない私であるが、子どもたちは嬉々として階段を降りていく。ああ、冷風機から離れたくない……!それでも仕方なく付いていくと、長い長い螺旋階段がどこまでも続いていく。深っ!
そして衝撃を受けた。
めちゃくちゃ涼しい。
キンッキンに冷えた奇跡の冷房空間が広がっていたのである。天国は地下にあったのか。
「どうりで、あの階段を降りて行く人はいても、戻ってくる人がいないから不思議に思ってた」
後から来た夫は感激しつつ納得していた。そして我々ももちろん「戻らぬ人」となる。
フルーツのクイズなど、年季は入っているが子どもと楽しめる不思議な地下空間が延々と続いていた。とりあえず涼しければ良い。最高でしかない。
道なりに歩いていくと、別のドームに繋がっていた。不思議なる笛吹川フルーツ公園。
見晴らしの良いところで、自販機の麦茶やジュースを飲んで、一日目の観光はおしまい。
どんなに下調べしようとも、いろいろと予想を裏切ってくれる旅はやっぱり楽しい。いや、思えば日常だって、そんなことの連続なんだけどね。
(石和温泉旅行記は第4話につづく)
Sweet+++ tea time
ayako
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