石和温泉って知ってますか?
ちなみに読み方は「いさわおんせん」。私は全く知らなかった。全く知りもしないところに行ってきた。二泊三日の夏旅である。
「特急あずさに乗りたい」
何ヶ月も前から6歳長男の意見は変わらない。行き先でも宿でもなく、乗る電車がまず固定される我が家の旅行。
特急あずさは主に新宿駅〜長野・松本を結ぶ特急列車である。あずさの停車駅を睨めっこしながら、行き先を考える。終点の松本は大好きである。涼しいし。昨今の猛暑じゃそこまで涼しくないのかもしれないけど、それでも東京よりマシに違いない。
じゃあ松本まで行くのか? 個室でもないのに子連れで2時間以上は長いかも。かくして途中の「石和温泉駅」に決まった。山梨県か。よくわからないけど駅からタクシー10分以内で行ける旅館があれば決定である(夕食が個室でお部屋にもお風呂があれば尚良い)
2歳6歳男子との旅行はこんな感じで決まる。さあ、行こう。全く知らない温泉街へ!
さて、旅行当日の新宿駅。
まずは猿田彦珈琲で「本場のシナモンロール」を衝動買い。衝動買い、という言葉の割にはスケールが小さい感が否めないが、500円弱である。どうしよう!?!?一度通り過ぎるもやっぱり気になって戻り、値段を見て通り過ぎるもやっぱり戻って買うという、優柔不断な私としては精一杯な「衝動買い」である。だって旅行だし!
カロリーも500超!でも旅行だし!
ちょうど益田ミリさんのフィンランド旅行エッセイを読んでいたので、無性にシナモンロール気分だった。好きすぎてこの本を読むのは二回目。おやつと本、旅の列車。幸福の組み合わせだ。
他にも色々買い込んで電車に乗り込む。ここが列車旅の醍醐味といえよう。
「かがやき」の入れ物に入った駅弁、生ハムチーズ巻き、シナモンロールを食べながらの特急あずさ。紅茶とビールという謎の組み合わせ。
いくつか川を越え、あっという間に山の景色に。ふわふわの雲、淡い緑、車窓だけ眺めているとなんとも優しい夏である。冷房 is 神。
やがて2歳次男は眠った。暇なので6歳長男、夫、私の3人でしりとりをすることに。普通のは飽きたから食べ物しりとりに。
ずんだ餅、ルマンド、ラザニア。気づいたら滅多に食べないものを含め、ずいぶんいろんな食べ物の名前を知ってることに気づく。フルーチェ→チェリーパイという流れのかわいさよ。
6歳長男は夫が言った「ケバブ」で大爆笑。ツボにハマったらしくお腹を抱えて笑い続けている。「"バブ"って!」たしかに。言われてみれば面白い名前かもしれない。しかし長年その言葉を知っている我々には、響きの珍妙さが、音としての新鮮さが全くわからないのだ。
知らない言葉、未知の響き、見たことのないもの。そんなものに溢れた小さき人たちと共に旅行するのは、世界の新しさをちょっぴりお裾分けしてもらう、貴重な瞬間の連続だ。
夏休み旅行に連れて行っているようで、本当は私たちが連れて行って"もらって"るのだ。荷物は多く大変だけど、スーツケースを引っ張っていこうではないか。
念願の特急あずさはあっという間に甲府駅へ。中央本線高尾行きでちょっとだけ上り方面に戻ったら、石和温泉駅に到着。
駅を降りたらお土産屋さんの向こうに大きなイオン。拍子抜けする未知の温泉街なのだった。
▽石和温泉旅行記は第2話へ続く▽
Sweet+++ tea time
ayako
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