すべての時計がずれた店「小作」でほうとうを食べて感動した話

ほうとう。

聞いたことはあるしイメージも浮かぶ。味噌煮込みうどんの、麺が平たいやつ?

ほうとう

しかし知っているようで知らない。どこかで偶然食べたことはある気がするが、寿司や焼肉のようなテンションで「よし!今日はほうとう食べに行こうッ!」と挑んだ記憶は全くない。

そんな淡い存在感のほうとうは、山梨県の郷土料理だったらしい。旅先のグルメを事前にリサーチしていた夫は、Googleマップのレビューを読み漁り、張り切ってほうとうの名店(子連れでも入りやすい)を選定していた。

「よし!今日はほうとう食べに行こうッ!」と挑む時がとうとう来たのである。

*・*・*

 

石和温泉駅に到着後、旅館に荷物を置かせてもらい、ほうとうのお店「小作」へ。観光地の香りがほのかに漂う、のんびりした街の、のんびりした歩道を汗だくで進む。

小作は大きな水車のある、修学旅行を思い出すような広々畳敷の店だった。

方々の壁に、古めかしく立派な時計が三つほど掛かっていた。

ちなみにこの写真を撮った時、12時55分。

大幅にずれている。

残り二つも前に後ろに大胆にずれていて、三つも立派な時計があるのに本当の時間がわからないという不思議な異空間が爆誕していた。

異空間でビールを飲み、鴨肉のほうとうを食べた。夫は豚肉ほうとう。かぼちゃほうとうが一番人気と書いてあったが、どうしても肉入りを選ばずにはいられぬ我々……

さて、人生初ちゃんと意図して食べたほうとうは、めちゃくちゃ美味しかった。

そもそも私は煮込みうどんとか具沢山お味噌汁が大好き、麺は刀削麺とか太めのが好き、だからつまりほうとうは大好物に決まっていたのだ……

そして食べながら思った。ああ、これは絶対かぼちゃがめちゃくちゃ合うやつだ。やっぱりお店一押しのかぼちゃほうとうにしておけばよかったか。く、悔しい!鴨もめちゃくちゃ美味しいけど、美味しいだけに余計かぼちゃが気になる……!

帰ってきてもまたほうとうが食べたくて「ほうとう 東京」と検索してはうんうん唸っている。なんでもある東京。ほうとうの店ももちろんあるはあるけど、やっぱりまた山梨県に食べに行きたい。

ヒレカツも美味しかった

*・*・*

 

小作でのランチに満足した我々は、次の観光地へ移動するためタクシーを呼んだ。ご年配の運転手さんは開口一番こう言った。

「小作で食べてきたんだ? めちゃくちゃ混んでたでしょ。ここすごい混んでる割に味はイマイチだからね〜あんまり美味しくないよ。だってチェーン店だから!」

え!?!? そうなんですか!?!?

というか!今この店から出てきた人にそれを言う?!?!?!

心に巨大クエスチョンマークを浮かべながら、しかし私は叫んでいた。

「本当にほうとうが美味しい店をぜひ教えてくださいッ!」

もちろん胸の内で。

後部座席から会話に突然参入する勇気はないのである。私は助手席で運転手と会話する夫にひたすら念を送り続ける。

(聞いて!聞いて!どこが美味しいんですかって聞いてーーー!)

人見知りの夫はもちろんそんな質問を投げかけることなく、会話は別の話題へと流れていった。ああ、ほうとう。地元の人こそ知る名店よ……

ちなみにこの運転手さん、この後も2回ほど遭遇するのであるがとても親切な方だった。そして小作も全然めちゃくちゃ美味しかったです。また行きたい(いろいろフォローし始める私)

そんなこんなで無事ほうとうランチは成功し(?)、我々は期待すべき最初の観光地、笛吹川フルーツ公園へ向かったのであった。

▽石和温泉旅行記は第3話へつづく▽

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Sweet+++ tea time
ayako

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