30歳って超大人だと思っていた

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久しぶりの外出に朝からワクワクしていた。自分の一か月検診である。

ずっとパジャマで家にこもって過ごしていたので、まだ窓越しにしか夏を知らない。

レモン色のワンピースを着て、お気に入りのピアスを着ける。新しく買っておいたオーガニックのお化粧品も試してみる。そう、私はめちゃくちゃ張り切っていた。一か月ぶりのおしゃれは楽しい!

授乳も済ませ息子を夫に託し、カバンには母子手帳や保険証など必要なものはもちろん、病院で待つ間の文庫本まで選んで入れた。アプリでタクシーを呼び、余裕をもって出発する。全てが完璧だった。

病院は豊洲にある。帰りは豊洲駅のパン屋さんで、お気に入りのアレを買おう。アプリコットとクリームチーズのデニッシュ。サンドイッチも買いたい。

ワクワクして夏の街を眺めるタクシーの車内、私は気づいたのである。

財 布 を 忘 れ た !

*・*・*

 

「今年の夏は本当に暑いですよね〜。冷房の強さ大丈夫ですか?」

朗らかな会話の間にも、タクシーは財布を持たない間抜け女を乗せ、あまりにも順調に豊洲へと向かっていた。

涼しい車内で、大量の汗が額をつたう。冷や汗である。

だが落ち着こう、タクシー代は大丈夫だ。タクシーアプリで配車依頼をしたので、アップルペイで先に支払っているのを思い出した。さすがアップル、世界の大企業が東京下町の間抜けなアジア人を一人救った。ありがとう。

問題は病院である。

財布を忘れたのでカードもない。あるのはiPhoneだけである。どうしよう。今までなら夫に来てもらうが、家で乳飲み子と留守番中である。抱っこ紐の使い方も知らない。呼ぶわけにはいかないのである。

ちなみに帰りはどうなる?タクシーも地下鉄もモバイルSuicaが使える。大丈夫だ。

ふだん使っていない脳みそをフル稼働して、私は今日の外出を乗り切るための方法を考えていた。

*・*・*

 

「すみません、今日お財布を忘れて来てしまったのですが…」

二時間後、大病院のうつくしいエントランス、会計窓口で途方にくれる間抜けな女がいた。私である。

これが30歳。超大人だと思ってたあの30歳である。

書類を一枚書いて、なんとか事なきを得たものの、ああ、我ながら情けない…(支払いは次回の検診と合わせてもらえることになった)

ピアスもつけておしゃれをし、なんの文庫本を持っていくかまで悩んだのにこれである。意気消沈した私は病院の正面玄関からタクシーに乗った。もちろん電子マネーが使えるかを確認して。

*・*・*

 

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「このあたりで大丈夫です」

モバイルSuicaでタクシー代を払う。

ああ、なんとか財布なしで戻ってこれた!見慣れた東京下町で、謎の開放感と達成感に浸る私。

久しぶりの外出(トラブルあり)をなんとか切り抜けたぞー!

財布を忘れて検診に出かけただけであるのに、街の人々に大声で主張したい気分ですらあった。誇らしい。よくやった、自分。そうだ、せっかくだからパンを買って帰ろう。

お気に入りのパン屋、昔ながらの個人のお店である。ドーナツにクロックムッシュ。トングでパンを取るのも久しぶりだ。産後は夫に買ってきてもらってたけど、自分で選べるってやっぱり嬉しい!お気に入りのパンをいくつかトレーに乗せ、レジで金額を聞いた私はおののいた。

財 布 が な い ッ !

財布を忘れるのみならず、財布を忘れたことを忘れるという、新たなフェーズに突入した恐ろしい2018年の夏であった。

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お財布忘れの歴史も、だいぶ長くなってきた。

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Sweet+++ tea time
ayako

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