三連休、私たちは江東区の異常にすいてるスタバにいた。暇だった。
暇すぎて眠すぎたため、夫は爆睡中の王子を抱っこ紐にいれたまま、スクラッチくじを買ってきた。これでつかの間の興奮を味わい、眠気を吹っ飛ばそうという案である。
皆さん、スクラッチくじをご存知だろうか?
その場ですぐに結果がわかるミニ宝くじである。10円玉でこするとアイコンが出てきて、縦横斜めどれか揃えばあたりになる。
だがこんなふうにすぐに削り出すのは初級者のやることである。
一枚200円。十枚セットで買った場合2,000円である。
これを最大限に楽しむ方法を今日は伝授したい。
「1等当たっちゃったらどうする!?」を考え尽くす
削るのはそれからである。
寝ぼけ眼で10円玉を取り出し、さっそく削り出そうとした夫を制する。
「ちょっと待って、当たったらどうするか、めいいっぱい考えよう」
「あ、そうする?」
今回のスクラッチくじ、一等は500万円であった(宝くじと違って少額なのです。少額ったって高額ですが)
「500万円だよ?どうする!?」
「う〜ん。500万って思えばちょっと微妙だよね」
そう、微妙。微妙ったって欲しいですが。めちゃくちゃ欲しいですが。
「家は買えないし。でも丸っと貯金するなんてつまらないし。長期旅行をするにしても休みが取れないよね〜仕事辞められるほどの額じゃないし」
当然である。
次は私の妄想結果を発表する。
「まずはフィルムカメラをもう一個買うかな。今のも気に入ってるけど、もっと持ち歩きやすいコンパクトなやつとか、レトロクラシックな外観のとか欲しいんだよね〜。あとは高い外国のフィルムをたくさん買ってどんどん撮りたい」
「へぇ〜いいね。じゃあ削ろうか」
10円玉を握ろうとする夫を急いで制す。
「ちょっと待ってまだだよッ!もうちょっと頑張ろう。2,000円分は妄想しないと」
「そうするか」
キョトンとする夫を前に、私はさらなる案を出す。
「いい感じの温泉街に二泊三日とかもいいよねぇ。お部屋食で、お部屋に温泉があれば王子一緒でも楽しめるし。涼しい夕方に浴衣をきてレトロな街をそぞろ歩き、たまらないよね〜(で写真も撮る)」
「いいね。じゃあ削ろうか」
「ちょっと待ってッ!全然まだまだだよ。こんなんで終われるわけないから」
だって夢みられる時間は短いのだ。削り出したらもう現実である。
「あとはそうだなぁ、う〜んと、高価で珍しい天然石とかヴィンテージビーズをたくさん買いたいなぁ」
なんとか第3案をひねり出すも、これ以上続かない。
「でもそんなんじゃ全然500万円にならないね」
そうなのである。500万円は難しい。というか私の欲望がどれも小粒なのだ。
「じゃあなんかいい案ある?私ばっか考えてるけど、ちゃんと妄想しないともったいないよッ!」と夫を促すと、
「やっぱり車買うかな」
「車はダメ。わたし運転できないし怖いから」
コーヒーを流し込みながら一刀両断、夫の夢を打ち砕く、すばらしく貞淑な妻である。
「ayakoさんの案ばっか通ってズルいよ」
どちらの案がどれだけ通ろうと、すべては妄想なのが肝である。
案が尽きたら、いよいよ削り始めよう
やりきった。そんな感覚になるまで考え抜いたら、いよいよ10円玉を握ろう。二人で交互に削る。息を飲み、手元を見守る。
今回のスクラッチくじ、キャラクターはドラゴンボールである。悟空が3つ並べば500万円である。
悟空が出るたびに鼻息が荒くなる。天使のような顔で眠る赤子の頭上で、欲望をむき出しにする大人二名。悟空。悟空。いや、もはや悟空じゃなくてもいい。1万円でもいい。なんでもいいから当たりたい。
五分後
さようなら。夢の時間よ。
500万円当たっていたら今頃ビシビシに覚醒していたであろう夫も、ふたたび睡魔に襲われる。
誰でも当たる200円を交換して帰途につく、すばらしく刺激的な休日であった。
フィルムカメラも温泉旅行も、のんびり実現していくぞ〜!
皆さんも、宝くじやスクラッチくじを買ったときは、ぜひお試しください。
Sweet+++ tea time
ayako
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