楽観的な男と4年間暮らした結果どうなるか

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私は幼い頃からとにかく心配性である。

幼稚園の頃、お弁当のフタが開けられないと泣いた。食べきれないと不安で泣いた。小学生の頃、筆箱の中の消しゴムをなくして泣いた。進級して下駄箱の位置が変わると不安で泣いた。

30歳となった今も、日々いろんなことが心配なのは変わらない。

仕事がうまくいかなければ悩むし、毎日が幸せならそれはそれで不安である。大地震がきたらどうしよう。夫が突然消えたらどうしよう(映画の見過ぎ)最後どちらか先が死ぬときが不安だし、その前に明日のパンが足りるか不安でもある(買いに行け)

私がたまに謎の不安に押しつぶされそうになっていると、夫は呆れ顔で言う。

「ayakoさんはどうでもいいことで不安になってるよ」

「何も悩む必要はないし、心配いらないのに」

「キョウッ!」

最後の「キョウッ!」というのは何かと読者の方もビックリされたかと思うが、これは夫のお気に入りの叫び声なのである。意味不明だと思うが、要するに私は猿と暮らしているのだろう。そう思ってもらえればいい。

「キョウッ!キョウッ!」

帰宅するとこの声を上げながら元気よく踊っている。

それにしても夫は明るい。楽観的である。4年間一緒に暮らしているが、不安になるときは空腹のときであり、悩むときは食べログを見ているときである。

*・*・*

 

コップの水の例え話がある。

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コップに半分の水が入っている。これを「半分しかない…」と捉える悲観的な人がいれば、「半分も入ってる!」と感じる楽観的な人がいるという有名なエピソードだ。私は前者であり、夫は後者なのだろう。

「ない」ものに目がいき不安になる私に対して、夫はいつも目の前に「ある」ものを大事にしているのだ。プラス思考。ポジティブシンキング。見習いたい。暗くなりがちな私に、いつも能天気で明るい夫。この人と一緒に暮らせてよかった、ベストパートナー、きっとそうなんだろう、きっと…

*・*・*

 

話は突然変わるようであるが、夫の靴下は75%くらいの割合で破れている。いやもっとか。見るとたいてい穴が空いている。

日々オシャレに決めたいと丁寧に記事を書いているこのブログにあるまじきエピソードであるが、事実なので仕方ない。

「ねえ、靴下穴あいてるよ」

「早く靴下買ったほうがいいよ」

「ユニクロのオンラインショップで注文しなよ」

私もだから75%くらいの割合でこう言う。夫がソファに横たわると、体が大きいので足が大幅に飛び出し、靴下が丸見えになる。そしてその靴下はほぼ間違いなく穴があいているorあきそうという瀕死の状態で夫の足に張り付いているのである。

「もうその靴下無理だよ」

「ねぇなんでネットで買わないの?」

「穴あきすぎだよ」

しつこく注意する私に、夫は得意げにこう言い放った。

「実はちゃんとあるんだよ!」

「・・・?」

何があるというのか。

「ホラよく見て、ちゃんと繋がってるから」

最後の薄皮、数本の繊維のみがうっすらと見えるそれを、夫は「ある」と言っている。そこに布はあるんだと。なぜか胸まで張っている。

「キョウッ!」

プラス思考。ポジティブシンキング。そういうことか?

穴の空いた靴下でごきげんに過ごす夫を、見る目がどんどん遠くなる。

コップの水。それはもはや半分も入っていない。水滴がついているだけのコップに水が入っていると勘違いしている男、それが夫である。

 

ないものはないから。

 

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楽観的な男と結婚すると、常に穴あき靴下を見る羽目になる。それが4年に及ぶ検証の結果である。

(後日談)

そういうわけで、昨年まで75%の割合で破れていた夫の靴下であるが、年末に実家に帰ったとき、義父母が新しいのを買ってくれたそうだ。恥ずかしい。これでは「夫に破れた靴下を履かせたまま気づかない嫁」と思われるのではないか…とまたいらぬ心配をした私であった(義父母はとても優しい)

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Sweet+++ tea time
ayako

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