「記録するだけダイエット」を2か月やってもまったく効果がなかった私はとうとう決意した。
運動をしよう。
「は? そんなの痩せたいなら当たり前じゃん」などと軽く思ってもらっては困る。こちらは全教科の中で体育がもっとも苦手な女である。駅の階段を避けて意地でもエスカレーターの列に並ぶ怠け者である。一大決心なのだ。
近所のスポーツジムに行ってみた
近所にスポーツジムがあり、一回数百円で使えるらしい。私はさっそく、豊洲のららぽーとで購入した新品のスポーツウェアを着て、夫と初回講習に参加した。
どうだろう?
いくら優しい読者の皆さんも、こればかりは最高にどうでもいいと思う。ちなみに夫は開口一番こう言った。
「体育の授業だね」
「いや、完全なるアスリート姿でしょ」
「着せられてる感がすごいよ。ayakoさんほどジャージに体育感が出てる人はいないよ」
ちなみにスポーツウェアはプーマで、スニーカーはナイキ。
形から入る女です。
フィッツケースの中の登山道具一式が頭をよぎる。登山もしよう…
筋トレを始める
初回講習を終え、いくつかのマシーンで筋トレをした。
私たちは階段を上るマシーンにトライした。体重に合わせて負荷が決まり、消化カロリーが液晶画面に表示される。
地下鉄の駅では避けて回っている階段と、とうとう真っ向勝負である。
夫とふたり汗を落としながら階段登りを続ける。きつい。相当にきつい。横にエスカレーターがあったら確実に乗り換えてる。階段、あいつはやっぱり気が合わないんだ…!そんなことを思いながら耐え忍ぶ10分弱。
ようやく達した50カロリー!
「つ、疲れた…」
夫の液晶画面を覗き込むと、同じ時間で2倍のカロリーを消化していた。
「すごい…もう100カロリー超えてる!」
体重が重く負荷が大きいからである。が、夫は得意げにこう言った。
「つまり、ayakoさんの2倍は食べていいってこと!」
そうなのか?
ぜえはあ言っていると、夫が達成感に満ちた顔で提案した。
「そろそろ朝ごはんでも食べようか」
ジムで朝ごはんを食べる
なぜかこの時ばかりは貞淑な妻となり、夫の提案に従ってトレーニングルームの外のベンチへと向かった。現代の自立した女性として、ちゃんと意思表示をするべきだったのに。だが、いかんせん奥ゆかしいわたくし…
夫は「一家のあるじ」たる顔で厳かにビニール袋からおにぎり二個とジュースを取り出した。そう、ジムの講習会が朝だったため寝坊した我々は朝食をたべる時間がなく、コンビニに寄って食料を調達していたのである。なんという矛盾。
というわけで、130カロリーのジュースを飲み、300カロリーのおにぎりを食べた。一瞬の出来事であった。
先ほど汗だくでやっと消費した50カロリーが、頭をよぎる。
ふたりともキョトンとした顔で、おにぎりを食べていた。ひたすら真顔でもぐもぐしていた。
スポーツジムで散歩をする
「お腹も満たされたし、ちょっと施設を探索しよう」
食べ終わったおにぎりのビニール袋をゴミ箱に入れると、夫は厳粛な顔で提案した。
私たちはスポーツセンターの全フロアを散歩した。この日は卓球の試合も行われていて、卓球のゆるキャラみたいなのが来ていた。でも、試合中なので誰も相手にしていない。
「あのゆるキャラ、かわいそう」
「ちょっと手を振ってあげようよ」
体育館の端っこからゆるキャラに手を振ったりしていたら、あっという間に時は過ぎた。2時間の利用制限があったことを思い出し、我々は慌ててトレーニングルームに戻った。
さて、着替えてジムを後にした帰り道、私はものすごい達成感と爽快感に満ちていた。
「もう、筋肉がつき始めた気がする…!」
夫は薄ら笑っていた。
こうして私のジムデビューは無事に終わった。
カロリー上は、まさしくその通りである。
果たしてジム通いは続いているのか?体重は減ったのか?
次回はグラフとともにお送りします。
▽第4話へとつづく▽
Sweet+++ tea time
ayako
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▽ダイエット奮闘記第2話▽