虹のタクシー運転手。短い旅で同じ人に二度会えると嬉しい

旅館へ向かうタクシーに乗る。名刺をもらっていたのでまた同じ運転手さんにお願いした。

運転席脇に、スマホが掛けてある。ホーム画面には、見事な富士山の写真。

「この間ここに来たときは富士山が綺麗に見えたんですよ。外国人のお客さんを案内してね〜2時間くらい待ちましたわ。でもとにかく景色が綺麗に見える日で……」

数ヶ月前のことのように話してくれたがよくよく聞いたら6年前だった。

それくらい楽しく記憶に残る一日だったのだろうなぁ、と聞いていて嬉しくなる。

*・*・*

 

さて、今日は曇天の雨上がり。

山の麓の方では特に激しい前が降っていたようだ。だからもちろん富士山は見えない。しかし、

「ここまで来るとき大きな虹が見えたんですよ。人生であんな虹は2回くらいしか見たことがないなぁ。でももう見えないかなぁ。向きが違うから帰りは見えるかわからないねぇ」

山を下る帰り道、私たちも見られるかどうか案じてくれる。ほうとうの店のことは貶していたが、親切な人なのだ。

蛇行する山道、視界が開けると突如、大きな虹が。

「まだ見えるよ!」

わあ〜っと歓声を上げて見上げる。

「奥さん、写真撮っていいよ!」

わざわざ傍に車を停めてくれた。とても親切な人なのだ。私の撮影を待っている。感動しつつ、私は慌ててスマホで撮った。

 

まったく虹が写っていない写真を。

 

虹、撮るの難しすぎるし、こういうとき異常に焦る小心者の私である。ちなみにご年配の運転手さんはめちゃくちゃ綺麗に虹を撮っていた。写真うますぎます。

そんなこんなで感動と焦りだけを写した不思議な一枚を撮って、無事に旅館へと辿り着いた。

*・*・*

 

ちなみに二日目に観光のためタクシーを呼んだ時も偶然この方だった。

到着したタクシーの窓から運転手さんの顔が見えた瞬間、「あ!虹の人だよ!」と思わず夫に伝えた。

虹の人。今日も誰かを運んでいるだろうか。いろんな人が、その場所で、今日という日常を生きているという、当たり前だけど不思議な感覚。

短い旅のあいだに同じ人に二度会えると、なんとなく嬉しい。

美しい笛吹川フルーツ公園でした。

▽石和温泉旅行記は第5話へ続く▽

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Sweet+++ tea time
ayako

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