恋愛がうまくいかない理由って、いろいろあるような気がして実はただ一つシンプルな問題だというのを聞いたことがある。
それは、あなたが相手のことを好きすぎること。あるいはその逆。
なるほど一理あるかもしれない。
女友達の恋愛話を聞いていても、だいたい女の方が男を好きすぎるか、その逆か、生じる諸々の問題も結局はその延長線上の話という気もしてくる。
テンションの違いというもの
話は変わるようであるが、例えば高校の文化祭準備で、何かと学校行事に熱い人たちと「ほどほどでいいじゃん」と思ってる人たちの間で、だいたい諍いが起こる。
読者の皆さんは、どちら側の人間だっただろうか?
ちなみに私はいうまでもなく後者である。キラキラした熱い人たちと同じテンションで、放課後に長々と残って合唱コンクールとか文化祭の準備をするのが苦痛であった。学校行事から解放されることも、大人になって良かった点の一つである。
まあとにかく、違う人間同士の熱意を合わせるって難しいねって話だ。
さて、映画の話をしよう
アメリカに住む82歳のマリアは小さなブティックで洋服を売っている、上品で気難しそうなよくいる老婦人である。
だが彼女はもともと、裕福なユダヤ系の一族でウィーンに住んでいた。第二次世界大戦中ナチスのユダヤ人迫害から逃れ、20代の頃に亡命してきたという過去を持っている。
そんな マリアは姉の死をきっかけに、ある事実を知る。
愛する叔母の肖像画を返してください。
第二次世界大戦中ナチス政府によって略奪された叔母の肖像画を、今もなおオーストリア政府が所有しているらしい。そして、姉は生前その絵画を取り戻そうとしていたという。
「親戚の大事な絵一枚くらい、返してやりなよ」なんて思ってしまうが、実はその絵画、かの有名なグスタフ・クリムトが描いた世界的名画なんである。
「黄金のアデーレ」
ちなみに、絵画に明るくない私でも知っていたのは次の作品。
「接吻」
薄い金箔を貼っていく最初のシーン。クリムトが叔母の肖像画を描いているところであった。
老婦人マリアと新米弁護士ランディの温度感が面白い
オーストリア政府を相手に訴えたり、迫害された辛い思い出のウィーンを再び訪れ裁判で屈辱的な目にあったり、まあ話の展開ではいろいろある。
が、私が面白いと思ったのは、82歳のマリアと若い新米弁護士ランディの人間らしい関係だ。
最初はマリアが乗り気です
知り合いの息子で弁護士をやっているランディにこの絵画返還請求の相談をするマリア。がしかし、熱意に燃えているマリアに対し、ランディは全然乗り気じゃない。
だってランディ、いろいろ失敗を経て、やっと大手の弁護士事務所に所属できたばかりなんである。訳のわからない案件に付き合っている暇はない。
二人の息が合うきっかけは、お金でした
この絵画が1億ドル以上の価値があると知ったランディ。俄然やる気を出し、弁護士事務所の上司を説得してこの仕事に取り組む許可を取り付ける。二人が同じ熱意を持って絵画返還の調査・手続きに奔走するようになるわけだ。
途中、絵画返還を専門にしたプロの弁護士を付けないかと提案を受けても、頑として受け付けないマリア。ランディを一人前の弁護士として尊敬していた。
あれ?マリアがトーンダウン
そう、二度と訪れまいと思っていたオーストリアで屈辱的な目にあったり、行き詰まり、どうやら疲れてしまったようだ。マリアはやる気を失い、挙句ランディに「あなたを解雇します」と通告。
上品で気難しい、誠に魅力的な貴婦人であるが、まあ本当に勝手なんである。
ランディが暴走し始める
ランディはランディで、妊娠している妻がいながら、大手弁護士事務所を辞めてまでこの裁判に没頭し始める。ランディもまた勝手な男なんである。
ああ、でも二人とも、人間らしくてすごくいい。
何はともあれ、こうして二人の温度差は完全に逆転してしまったわけだ。
結局どうなったの?
二人のテンションは一致したの?そして絵画はオーストリア政府から取り戻せたの?
それはまあ、秘密である。映画を観てみてください。
他人同士の熱意や温度やテンションを合わせていくのは、恋でも仕事でも本当に難しい。だから誰かと恋愛したり誰かと一緒に仕事したりするのは面倒くさくなる時があるのも当然だ。なんでも一人で決められるのは、ラクでスッキリする。
それでも。
ああ、今日も面倒くさいことに我々は、誰かに期待したり、失望したり、共に盛り上がったり、寂しくなったり、そんなことを懲りずに繰り返しているんだ。
おまけ:おしゃれな女は映画を観る
私はというと、外国人の顔が覚えられないし面倒なのでここ最近あまり映画を観ない日々であった。が、この自称おしゃれブログ「 Sweet+++ tea time」に磨きをかけるためにも、これからは映画を観てみようと思っている。
DVDは借りてきても観ないで返すのが目に見えているので、ズボラな私は映画館へいこう。
名画座の前のスターバックスで
小さな映画館は待っている場所がない。映画の上映時間までスタバでマックブックを広げておしゃれぶる私。(何もしていません)
一番楽しみな瞬間、ガラス越しの映画館を一枚写真に撮る。
この佇まいが好きです
大好きな飯田橋の名画座ギンレイホール。このレトロ感、たまんない!
というわけで作ったカテゴリー「おしゃれな女は映画を観る」、ちょっとずつ充実させていくつもりなので、映画好きなあなたも、そうでないあなたも、楽しみにしていてください。
何なの、緑くん。
飽きっぽい私の性格を熟知している緑くんであった。
まいったね。
Sweet+++ tea time
ayako