夫は最強のミニマリストである

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夫と付き合い始めた頃、私はあることに気づいた。それは彼がどう考えても3着くらいしか服を持っていないということである。

普段はスーツを着ているのでなんとなくごまかされていたが、週末デートだってある。家も近く頻繁に会っていたため、彼の私服ストックはすぐに一周する。

「あ、またあの服だ」

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私は思った。胸ポケットに犬のイラストがついた水色のシャツ。

次に会うと、黒のVネックのシャツ。

次に会うと、もう一枚の服(忘れた)。

ということはもちろん、次回は胸ポケットに犬のイラストがついた水色のシャツである。(これが一番印象的なため、一周の合図となる)

数着がヘビーローテーションで働き続ける、少数精鋭のクローゼットだ。

「フランス人は10着しか服を持たない」という本があったが、夫は3着である。コーディネートの如何はともかく、数の上ではフランス人をはるかに上回っている。

母にも電話で話していた。「彼はどう考えても3、4着しか服を持ってないよ」

どうでもいいことを報告する娘である。

*・*・*

 

さて、付き合って数ヶ月たち、私たちは沖縄に旅行にいくことになった。2泊3日である。私は思った。彼、洋服どうするんだろう。

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羽田空港で、夏の旅行用に見たことのないシャツを着ている彼を見つけた。ということはなく、やはり彼の胸ポケットでは元気な犬が安定の角度で飛び跳ねていた。例の水色のシャツである。

果たして彼の少数精鋭の3着たちは沖縄でも総力戦で働き、旅は終わった。

*・*・*

 

結婚してわかったが、実際、夫はまったく服を買わない。止むを得ず買わなければならないとき以外、アパレルショップに行くのが苦痛のようである。

しかし夫が買わないのは服だけではない。本も買わない。

私はコンビニでも本屋でも、ちょっと面白そうな文庫本や雑誌を見つけるとすぐに買いたくなる。積ん読が多い。

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一方、夫はストイックである。一年に数度、珍しく興味深そうに本を立ち読みしているときがあるので「買ってみれば?」と声をかけても買わない。ほぼ100パーセント買わない。

「読まないからね」

彼は何の執着もなく、さっきまで面白そうに読んでいた本を戸棚に戻す。

「それより早く帰ろうよ」

本屋は私が行きたがるので仕方なく暇をつぶしているだけのようである。

*・*・*

 

夫は本を読まない。本を読まないけど賢いのだ。着ない服や読まない本を買って持て余している私と比べればずっと。ミニマリストやシンプル生活が盛り上がるこの時代に、完全に遅れをとっているのは私の方なのだ。

そう、私は気づいたのである。

夫は最強のミニマリストであると。

*・*・*

 

先日、ミニマリスト的な本で読んだのだ。捨てる技術も大事だが、その前にモノを持ち込まないようにするのが大事だと。

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もっとも家に溜まりやすい、本と服。その二つを夫は買わない。じゃあ何が好きかというと、食べることである。食べログやラーメンマップといったアプリを眺め、気に入った店にいく。満足して帰宅する。

たまにお土産を買うが、焼き豚や出し巻き卵などの食べ物である。食べたら消える。それも、だいたいその日のうちに消える。

これは家に何も持ち込むことのない、究極のミニマリストだ。

私は驚愕の事実に気づいた。と同時に、なぜこの家がミニマリストのすっきりとした家から掛け離れているのかという大きな疑問にぶち当たる。

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簡単である。

外国の古いボタンとかお菓子の缶を嬉々として集める、非ミニマリストの女がもう一人住んでいるからである。

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よくできた組み合わせだと、考えることにしよう。

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Sweet+++ tea time
ayako