初めて一人暮らしをした街、白金高輪を6年ぶりに訪れた話 / フィルム写真日記

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小説を読んでいたら、実にいい感じの商店街がでてきた。

果物屋があり、帽子屋があり、古本屋があって、銭湯もある。一人暮らしの主人公が商店街を歩くのは夜が多いから、どこか静かな雰囲気が漂う。でも寂れてるわけじゃなく、とはいえ活気いっぱいの巨大アーケードというわけでは全然ない、こじんまりとした商店街。

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『つむじ風食堂の夜』です

一人暮らしの街を思い出すなぁと、懐かしさがいっぱいになってしまった。

一人暮らしをしていた街を、フィルムカメラ片手に6年ぶりに歩いてみた

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去年のゴールデンウィークに、とくに用事も理由もないけれど、懐かしくなってふらっと行ってみた。白金高輪。

同じ東京都内だし、清澄白河から30分くらいなのに、引っ越したら(一度用事で訪れたのを除けば)めっきり行くことがなかった。20代前半、初めての一人暮らしで、不安だったりワクワクしたり無数の思いが詰まった大好きな街だったのに、あっけない。

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駅前の通り。スタバがあって、サイゼリアがある。瀟洒なお花屋さんで、5キロの園芸土を買い、エレベーターなしの部屋まで担いで行ったのも懐かしい(なぜそんなに必死で花を植えていたのか…)

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駅にはクイーンズ伊勢丹が入っている。成城石井みたいなオシャレ高級スーパーである。

一緒に買い物をし、「僕が出すよ」と言ってくれた彼氏。食べ終わると小さなキッチンで速やかに洗い物をしてくれた彼氏。あのときお酒はジャックダニエルだった。6年の歳月が流れ、彼氏は夫となり、共通の財布から支払われる日々のウイスキーは当然のトリス、食べ終わったあとの皿は山盛り。

時よ…

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入り口で選べるパンが好きだった、駅直結の「カフェ エスペラーンス」。

朝、サンドイッチをテイクアウトしてから通勤したり、休日にひとりでお茶したりした。広々として好きな場所だった。去年のゴールデンウィークに行ったときは健在だったのに、今調べたら10月に閉店していた。寂しい…

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6年ぶりに三人で

この日はテラス席で三人でパンを食べた(王子は持参したバナナを…)

間に合ってよかったなぁ。

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駅前の公園。デートのとき、夫はこのあたりに車を停めて待っていてくれた。同い年なのに、いつも穏やかに話を聞いてくれて、すごく大人だ…と思っていた。メガネをしていないのに視界が曇るということがあるようだ。

クリアになった今思っている。同い年なのに、いつも食べることと眠ることばかり考えていて、すごく不思議だ…

都会でありながら下町である。二つの顔を持つ面白い街、白金高輪

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絵本の中にしか存在しなそうなスイーツのお店がふつうにあり、何車線もが走る巨大道路が通っている(歩道橋の上からこの景色を眺めるのがとても好きだった)

都会だなぁという感じなのに、ちょっと路地を入ると別の表情を見せてくれる。

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駅のすぐ裏側はこんな道

駅前のピカピカに光る高層マンションからは想像できないような、背の低い木造家屋や古い雑居ビルがちょこちょこと並び始める。

さらに一本道を入ると、昔ながらの商店街が始まる。

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白金商店街

言うまでもなく私の生活圏はこっちだった。古くて小さな商店と、新しいサロンやラーメン屋さんが、ちょうどいい割合で混ざりながら仲良く並んでいる。

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ちょっと渋めの植木屋さん

駅前のオシャレフラワーショップではなく、いつもこちらでお世話になっていた。

花の育て方をいろいろ教えてもらった。狭い部屋にいつも切り花を飾っていたし、日当たりの良いベランダでハイビスカスや紫陽花も育てた。

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忘れられない八百屋さん

このお店、いつも果物や野菜に直接マジックで値段を書いていたのです…衝撃的すぎて買い物をしたことは一度もないんだけど(ごめん)、私の中で「白金高輪=果物に直接値段を書く八百屋」くらいには印象的なことだった。

今回もワクワク前を通ってしまったんだけど、値段書いてなかったなぁ。さすがにやめたのかぁ、それともこれから値付けだったのかなぁ。

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商店街には温泉銭湯もあった。

入浴セットを持ってよく通った。まるで珈琲みたいな真っ黒い熱々の温泉で、夏は入り口に蚊取り線香が置いてあって、「田舎の祖父母の家」みたいな匂いが漂っていた。実際は、小綺麗なマンションの一階部分なんだけどね。

お風呂とトイレが一緒の極狭ユニットバス暮らしだったので、ありがたかったなぁ。

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商店街を抜けていくと古川という小さな川にぶつかる。

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そこにかかる四の橋。

四の橋のバス停もよく使った。バスに乗って渋谷に行ったり、麻布教会がある六本木から帰ってきたり。ぼんやりと夜に浮かぶ古川と四の橋を見て、「帰ってきたな」と思うようになった。

なんでもないちっぽけな川と橋なのに、だからこの景色を見ると、この頃に出会った人々や、夜のバスから見えた都会の景色がよみがえってくる…

たった一年半の一人暮らし期間だったけど、ぎゅっと煮詰めたジャムのように、想い出はどこまでも濃いのです。

ハンガリー料理レストラン「Paprika.hu」でランチして散策はおしまい

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数年ぶりに来たお店Paprika.hu(パプリカドットフ、と読む)。思えばここは、住んでいた頃に仲良くなったハンガリー人の女の子が連れてきてくれたのが最初だった。

今の街に引っ越してからも、彼女が主催するイベントに呼ばれ、夫と食べに来たことがある。

すっかり疎遠になってしまったけど、元気にしてるかなぁ…

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めちゃくちゃ可愛い内装のお店である。ハンガリーの刺繍ラブ…

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東欧のお料理大好きな私にはたまらない世界。王子のお昼寝時間に、満喫しました(ロシア料理とかベラルーシ料理レストランも、久々に行きたいなぁ〜!)

一人暮らしの街に、家族三人で訪れて、いつものカフェや懐かしいレストランに行くという、最高に興奮しちゃう休日散歩だった。

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それって最高にステキなことだ。

いつもネットでフィルム写真の現像をお願いしている写真屋さん、店舗は白金高輪にあるみたいなので、密かに縁を感じている。

撮り終わったフィルムを持って、また歩いてみるのもいいなぁ。

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Sweet+++ tea time
ayako

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