あまり信じてもらえないが、私は甘い物が苦手なほうだ。
もちろん家にお菓子はなく、紅茶と一緒にヨーグルトを食べている。その紅茶も当然お砂糖なしである。ショートケーキよりマカロンより、ピクルスが好き。チョコレートよりアイスクリームより、おせんべいが好き。
スイーツ女子の輝きから遠いところに位置する女である。
そんな非甘党の私が頼りにしている店、それはスターバックス。なぜなら、スタバは甘くないミルクティーが飲める数少ないお店だからである!
「甘くないミルクティー」
それは家の外では意外にもめぐり合うのが大変難しい代物なのだ。近所の喫茶店で「甘くないミルクティー」を出してくれるところがあるのなら、店が潰れないように全力で通うのがあなたの使命だと思っていい。それくらい貴重である。
まず紅茶。コーヒーで有名なおしゃれカフェは、そもそも紅茶がメニューにないという非常事態が頻繁に発生する。
次に難しいのが「甘くない」の部分だろう。
ロイヤルミルクティーに多いが、甘い味付けがなされている紅茶は少なくない。「お砂糖をなしにしてほしい」と頼んでも、シロップが含まれていて云々、意外に無理なことも多いのだ。
次にミルク。これはテーブルの端にある小さな容器に入ったニセモノのあれではなく、ちゃんと牛から絞られた牛乳であることが理想だ。
「うわぁ…ayakoさんってなんか細かい女だな」と思ったあなた、待ってください。まだページを閉じないでください。
何を隠そう・・・
おしゃれ雑誌BRUTUSの紅茶特集で、かの松浦弥太郎氏も、スタバにおいて、まさに私と同じオーダーを好んでいることが発覚したのである!
松浦弥太郎さんは以前から、スターバックスでティーを頼んでいます。
「わ、私もです!」
興奮のままにインタビュー記事を読み進めると、どうやら松浦氏のお気に入りは「イングリッシュブレックファストのティーラテ」らしい。
「わ、私もです!」
好きな紅茶の種類まで一致するとは…緊張しながらさらに読み進めてみると、松浦氏は細かいカスタマイズをつけてスマートに注文しているらしい。「ソイ・オールミルク・ホワイトモカシロップ追加のエクストラホット」とすらすらと言っちゃうらしい。
「・・・・・」
もうひとつ松浦氏の定番ティーを挙げるとすれば「抹茶 ティーラテのソイ・オールミルク・シロップ抜き・パウダー多め・ショット追加・エクストラホット」らしい。
「・・・・・」
インタビューを読み終える頃には、松浦弥太郎さんを、じゅうぶん遠くに感じている自分がいた。
最後に、スターバックスにおける、私の非常にスマートな注文スタイルを再現したいと思う。
「えっと、紅茶、紅茶ってありますか?あ〜っと、そうだ(メニューを指差しながら)、この、イングリッシュブレックファストで。えっと、牛乳を入れてほしいんですが、お砂糖は抜いて欲しくて…え、ラテ? あ、はい、そうなんですね、じゃあ、イングリッシュブレックファストの、ラテで…そうですね、とにかくお砂糖が入ってない、ミルクティーで…(以下略)」
毎回こんな調子である。
スタバの店員さんにご迷惑をおかけしないよう、私もすらすらと注文ができるようになりたい。しかし、這々の態で伝え終わったあと、美味しい理想のミルクティーを堪能しながら、私は思っている。
(いったい何を注文してこれが出てきたんだろう…)
再現性のない、一回きりの紅茶オーダーを毎回四苦八苦やっている。香港のスタバでも、拙い英語でまったく同じやりとりをダラダラとしていた。
だが、読者の皆さんならご存知の通り、ayakoさんといえば「成長」。
いま、私の手帳ポケットには、この薄っぺらい紙が大事に保管されている。
次回からは、このレシートを見て言いたいと思う。
「イングリッシュブレックファストのティーラテ、ノンシロップで」
レシートの存在を忘れて、カウンターの前で取り乱す自分の姿が、ありありと浮かぶよね。
Sweet+++ tea time
ayako
今日の一冊
かわいいデザインのティーバッグもたくさん載っていて、紅茶好きにはたまらない一冊です。
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