東京に住んで最初に思ったのは、「生活用品を買う店がない!」ということだ。
東京といっても街によってぜんぜん違うと思うのだが、最初に住んだのは白金高輪だったので、大きなスーパーが身近にある千葉県育ちの私はとても困った。イトーヨーカドーやイオンはどこ? お風呂のフタはどこで買うの? ホットプレートは? 鍋つかみって?
このあいだ、神保町の三省堂書店をぶらぶらしていたら、面白い本を見つけた。正式なタイトルを忘れてしまったけれど、「東京の住んじゃいけない街ランキング」みたいなのが載っていて、私の住む清澄白河が上位にランクインしていた。
これには笑って、夫と解説ページを覗き込んだのだが、なるほど的を射てるかも…!と思ってしまった。
清澄白河は「生活不便度」が高いという。生活に必要な日用品を買う店が少なく、食料品が買える大きめのスーパーは赤札堂くらいと書いてあった。だがその赤札堂だって、お風呂のフタとかホットプレートまで買えるわけじゃないのである!(こだわる)
木場のイトーヨーカドー、日本橋のコレド、豊洲のららぽーと。大きなショッピングモールがどれも眩しく輝いて見える。そんなものを持たない小さな下町で、最近はもっぱらamazonで買い物することを覚えてしまった私である…
いいこともある。清澄白河も森下も、住んでると溶け込んでる感が味わえる優しい街なのだ。
お肉屋さん、パン屋さん、お花屋さん、ケーキ屋さん、文房具屋さん、古本屋さん、カレー屋さん、たい焼き屋さん。子どものころの「将来の夢」にでてきそうな"なんとか屋さん"がいっぱいある。
お店の人とも自然と顔なじみなるので、街を歩いていても誰かに会って挨拶をしたり、ちょっと世間話をするなんてことがけっこうある。
よく行くカレー屋さんが10周年記念らしく、交差点でチラシを配っていた。「近々行きますね」と軽く会話して、歩いていたら今度は焼き鳥屋さんのお兄さんと会う。挨拶をして、大好きなパン屋さんに行くと美味しいサンドイッチをおまけしてもらえる。数日後、お祝いのためカレー屋さんに行ったら、お礼にインドビールのお土産までもらった。
今まででいちばん街に溶け込んでる気がする、楽しい東京下町生活なのだった。(間違っても、食べ物をもらえるからでは、ない…)
しかし憧れが消えたわけではない。大きなカートを押して食料品売り場を練り歩いたり、全フロアで生活用品をなんでも買えるってワクワクするじゃないですか。イトーヨーカドーには「ぽっぽ」というフードコートもあるじゃないですか。
「ぽっぽ」でケンタッキー食べて本屋さんブラついてUFOキャッチャーをしてロフトで文房具買って映画まで観ちゃうとか最高じゃないですか!(木場のイトーヨーカドーで興奮した我々の過ごし方である)
そういえばもう4年以上前、当時付き合っているひとのいなかった私に、会社の同期の男の子が誰か友達を紹介したいと言ってくれた。「どんな人が好みなの?」と聞かれた。
「イオンとかで一緒に買い物できる人がいいなぁ!」
自信満々に答えた私に、紹介されたのが夫であった。
そうである。
イオンの似合う男女の、東京下町生活ももうすぐ5年目になりそう。大好きな街だけど、ショッピングモールへの憧れはとまらないよね。
Sweet+++ tea time
ayako
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