皆さん、わけもなく好きな景色って、ありますか?
特に何があるわけでもない。凄まじい夜景も、迫力満載の自然も、おしゃれな建物もない。だけど無性に好きな景色。
私のそれは、ゆりかもめの小さな駅「竹芝」なんです。
4月の終わりの、午後16時54分。またここに来ちゃったんだ。
夕闇の写真だけど、私の大好きな景色、ちょっとでも分かち合えたら嬉しい。
一番おしゃれな場所は、波止場なんだ!
私は海が好きで、泳ぐ海も好きだけど、見る海も好き。旅立つ海も好き。船がやってきては出発する、何かが交差する港が好き。
竹芝から眺める東京湾。海沿いにはかっこいい倉庫がずらりと並んでいる。
自然いっぱいリゾートって感じの海も好きだけど、この金属っぽい港の風景も大好きなんだなぁ。
竹芝ふ頭。竹芝客船ターミナル。
東京湾を周遊するカラフルな船が出るかと思えば、遠くまで行ける白い客船も出る。
ちょっとホームページを見てみたら、どうやら三宅島、八丈島、小笠原諸島に行けるらしい。
天気予報でしか聞いたことのない遠い島に、ここから行けるんだと思うだけで、なんだかめちゃくちゃ興奮しちゃう私である。
「ふ頭(埠頭)」って言葉が「波止場」と同じ意味だと、初めて知った。
小説を読んでいても、港系の用語は、いまだによくわからない日本語がいっぱいある。自由で未知の世界だ。
海沿いの、静かで素敵なビルディング!
竹芝駅を出ると、ニューピア竹芝サウスタワーがある。
基本的にオフィスビルで、一階には喫茶店とかレストランが入っている。いつ来ても、ガラガラで人がいない。
このビルディングもまた、大好きなんです。
一階のレストランがあるところ。
この足元のタイル…
まさに海の色!
東京にはおしゃれなカフェも建物も無数にあるけれど、私が考える最もおしゃれな建物はここ。
ゆりかもめで、皆が通り過ぎてしまう駅、竹芝。
海沿いの、誰も来ない、ガラガラの素敵なビル。
なぜかドレスショップがあって、綺麗なウェディングドレスがショーウィンドウ越しに見られる。
窓の向こうには海の気配があって、ガラス扉を開ければ、
デッキが広がる。
何にも考えずに、ぼうっとここを歩くのが、大好きです。
海沿いの喫茶店は、なぜか自由な気持ちになれる
このビルの入り口に、無性に好きな喫茶店がある。
「BAYSIDE CAFE KEYWEST」
ベイサイドカフェ。いい響きだ…!でも、カフェというより喫茶店という感じです。
席の並び方も、なんだか食堂っぽい。ご飯も本格的じゃないんだけど、それがまたいい。
天井が高くて、ガラスの向こう側にはデッキと海が広がっていて、そしていつも空いている。
観光地じゃないから、カフェもデッキも人がいない。ここにくると、私はすごく自由な気持ちになる。
「人生に無駄はない」の本当の意味とは…?
竹芝は、皆が通り過ぎる駅だ。
新橋や汐留、お台場。賑わう場所と場所の間に、偶然にできたポケットみたいに、人が来ない駅である。
だけど私はこの静かな海沿いの空間がすごく好きで、もう7年くらいずっと好き。
落ち込んだとき、なんか鬱屈した気持ちのとき、ここに来て船を見るのがいい。
そんな私が竹芝の風景を偶然知ったのは、就職活動だった。面接や説明会で21歳の私は初めてこのオフィスビルにやってきた。
当時は、もう全然おしゃれじゃない真っ黒なリクルートスーツを着て、ちょっと憂鬱だったり緊張したりしながら、この竹芝駅を降りて。
面接の時間まで、デッキをうろうろしたり、この喫茶店でぼうっとコーヒーを飲んだりしていた。
就職活動は、誰もがそうであるように、基本的にすごく憂鬱で退屈で辛いことが多い。そのうえ私は、結局会社を3年で辞めてしまったのだから、なんだか意味がなかったような気さえする。
だけどその就職活動は、竹芝の風景を教えてくれた。
もちろん、竹芝は、いつでも降りられるゆりかもめの一つの駅でしかない。
でも、将来のことが不安で心細いリクルートスーツ姿の私だったからこそ、船が行き交う竹芝ふ頭、この波止場の自由な風景に惹かれたのかもしれなかった。
「人生に無駄はない」
それは「就職活動にも意味があった」というより、「それで出会えた景色があった」という意味だと、私は思っている。
竹芝の小さな景色は、7年経った今も私をときめかせ、生きる道をささやかに照らしてくれる。デッキから眺める、海の煌めきのように。
写真を好きになって、カメラを好きになって、私は思う。
大好きな景色に出会えるというのは、すごく価値あることなんだ。
なぜならそれは、雑誌や観光パンフレットの中ではなく、自分の記憶と体験の中でしか、本当には出会えないものだから。
落ち込んだ時は、いつだってここに来よう。
なんだかすごく、自由な気持ちになれるから。
素敵な景色に出会えるかも。そう思えば、進むのは決して怖いことじゃないんだよね、緑くん。
皆さんの、なぜか好きな景色は、どこですか?
おまけ
オーガニックで手作りでおしゃれなケーキもいいけれど、こういういかにも「海沿いの喫茶店」って感じの"冷たい"ケーキも、大好きです。
今回は、記念すべき100記事目でした。
「読んでくれて、ありがとう!」
Sweet+++ tea time
ayako