0歳児と過ごす日々が楽しすぎて逆に不安になった話

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どんなに石橋を叩こうと、最新の望遠鏡で先の景色を見ようと、実際に歩いて見なければわからない。

落とし穴というのは、いつだって思いがけぬ場所に隠されているのだ。

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「自分の時間が全然とれないッ!」

子育てを始めると、この葛藤に必ずぶち当たると信じて疑わなかった。出産前から不安だったし、いつだろう、いつ来るだろう…待ち構えていた。

だが、正直に言おう。こうした葛藤や悩みが、不思議なほどにないのである。一人になりたいとか、大人と会話したいとか、どうしても◯◯がしたいとか、そういう欲求がどうにもない。まさか私はアラサー女の外見をした「赤ん坊」なのではないかと思うほどに…

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日中、私は嬉々として王子と一緒に遊んでいる。

ちなみに0歳児との遊びとは、積み木を重ねては壊される瞬間「ど〜んッ!」と効果音を出し、「ニャンニャンニャンッ!」と言い合い(異常に笑う)、ハイテンションの「いないないばあ」を連続で行い、動物のぬいぐるみを動かして「こんにちは!ちゅ〜!」などと喋らせたりするものである。冷静に書き連ねると恐ろしい。震える。

絵本もよく読む。だが0歳児の反応が得られる絵本とは、謎の図形みたいなものを見せながら「シマシマぐるぐる!」「にょろにょろぐるぐる!」「しましましましま!」である。起承転結などない。これを大きな声かつ満面の笑みでエンドレスリピートである。

ちなみに王子は後半のページにある「ひえひえ そふとくりーむ」の部分で必ず笑う。ニヤッと笑う。いつしか私も「ひえひえ そふとくりーむ」のページが近づくと無性にワクワクしている。末期症状である。

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「だんだんだ〜れ!?」「にゃんにゃんにゃお〜ん ネコさん!」こんな無限ループを繰り返していたらあっという間に夜になり、「はいネンネしようね〜」と言って子犬のような(時に暴れ馬のような)王子を抱っこして寝る。満ち足りている。こんな日々が続いても、何のフラストレーションも起きない。そのうえ私は頭の使う凝った料理などもしない。恐ろしい。

そう、私はいま、当初の予想とは全く異なる悩みにぶち当たっていた。

 

このままでは、自分はボケてしまうのではないか…?

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何年か前、夫と一緒にビジョンノートというものを作った。何ヶ月後でも何年後でもいいから、将来こうなっていたいという願望を書き込むというものだ(ちなみにこのノートを作りたいと言いだしたのは夫である)

夫はそこにこう書いていた。

「頭の回転の速いおじいさんになる」

いかにも頭のよくないビジョンである。

どうしたら頭の回転の速いおじいさんになれるかについて、夫はこう述べていた。

「脳トレが必要なんだよ。計算ドリルとかをやらないと」

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いくら王子との日々が楽しくても、このままではいけない。ボケ防止のために何かしなければ。

私は考えた。外国語の勉強を再開するのはどうだろう?

だが、ここ最近で私が英語を使ったのは、スーパーと天丼屋の場所を聞かれた2回のみである。モチベーション…

そして思い至ったのである。ブログだと。文章を書こう。書いたからといって頭が良くなるとは到底思えぬ当ブログであるが、「にゃんにゃんにゃお〜ん→就寝」より少しはいいはずである。

かくしてここ最近、私は熱心にブログを更新している。

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先日、久しぶりに自分のための本を買った。

頭を良くするには、インプットもしなければならない。そう、『しましまぐるぐる』と『にゃんにゃんわん!』以外の本を読まなければ。

スーパーの棚で見つけ、即座に手に取った。

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『考える教室 大人のための哲学入門』

自分の考えを深めていくために

 

衝撃であった。これほどにも今の私にぴったりの本があるだろうか。目次を見る。プラトン、デカルト、ハンナ・アレント、吉本隆明。おお、眩しい…無知の知、方法序説、人間の条件を再検討する、共同幻想論。なんとカッコイイ響き…

高まっていた。スポーツジムに通い出すにあたり、ウェアを一式揃えたときと同じ胸の高ぶりである。英会話教室に入会しただけで、もうペラペラになった自分が見えているあの無敵感である。上等ではないか。

ときには難しいことを考え、少しは悩み、頭を使わなくてはならない。

「よし、今日からこれをちょっとずつ読んで、頭を良くしていくぞーッ!」

声高らか、得意げな私を見て、夫は言った。

「そんな本に飛びつくところ、いかにも頭のよくない人がやる行動だよね」

 

計算ドリルの男に言われたくない。

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数十年後、頭の回転の遅い、ぼーっとした老夫婦になっている予感が凄まじい。

というわけで最近は、ファミレスで王子にせんべいを食べさせつつ、私は「魂」について思いを馳せ、「生命の祝福」について熟考している。このブログが日に日に知的になっていうことは間違いない。

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Sweet+++ tea time
ayako

今日の一冊

 

ちなみにこの本はとても面白いです。何かを考えたり思い出したりするきっかけをくれる感じ。高校生のころ、倫理が好きだったので懐かしい話がいっぱいでてくる。

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