年に一度しか行かない街がある。
大きなショッピングモールとか繁華街があるわけでもない、いたってふつうの街。そこに親戚とか友達とかが住んでいて、誰かに会いに行くために訪れる場所。
お盆とかお正月にしか行かない土地ってきっとあるでしょう。
私にとってそれは、都電荒川線の三ノ輪橋である。三歳下の妹が住んでいる街。年に一度、母と一緒に訪れる。
こんなふうに書き出すとなんだかステキなんですが、実際のところ
紅白を見るために行ってるんですね。
年末年始を過ごす千葉の実家にはテレビがない。ちなみに私の家にもプライベートビエラしかないし録画もできない。
というわけで1月の初旬、一人暮らしの妹宅に集合して録画しておいた紅白を見る、というのが毎年恒例の行事になっている(妹は1Kの狭い部屋になぜか42型巨大テレビを設置している)
2019年の紅白お茶会、無事に開催されました
大好きなシャルマンのオニオンタルトをお土産に持って行った。
「あ〜早く産休に入ってのんびりしたい」とのたまっていた妹(注:結婚していない)とは性格も顔もだいぶ違うけど、悔しいかなインテリアの好みはドンピシャである。
妹の持っている食器(アフタヌーンティー多め)は本当にかわいい。
シャルマンのケーキも食べました。
数日遅れで去年の紅白を飛ばしながら見る。終わったら録画してあった他の番組もなんとなく見る。いろいろ飲んだり食べたりしながら。これがとても楽しい。
我が家はもともと三人家族だけど、思えば母と妹と暮らした日々はもうだいぶ昔のことだ。私は24歳のころに一人暮らしを始め、妹は大学卒業後、就職と同時に家を出た。三人暮らしの日々はもう七年以上も前なのだ、懐かしい。
レトロキュートな三ノ輪橋の風景が大好きです
三ノ輪橋の風景、とても好きだなぁ。すごく近いのに、妹が引っ越してくるまで来たことはおろか、地名を聞いたこともなかった気がする。
路面電車、初めて見たのはポルトガルで、その次が長崎、最後が一番近い東京という不思議。このレトロな乗り物が大好きだし、今も東京を走っているというのがたまらない。
昭和なかわいいパン屋さんがあって、
レトロキッチュなおもちゃのような駅に、
線路の前に植えられたバラ。
お惣菜屋さんや餃子屋さん、昭和そのもの、時空が歪んだみたいな路地には小さなお店が詰まっていて、「万引き家族」のロケ地になった商店街もある。
三ノ輪の街も歩いたら楽しそうだなぁ、写真たくさん撮りたいなぁ、都電にも乗りたいなぁ。来るといつも思うのに、次にそう思うのは2020年の1月なんだろう。きっとまた数日遅れの紅白を見るためにこの街に来る。
でもそれだって確実ではなくて、妹が本当に結婚してこの街を引っ越すかもしれないし、結婚しなくてもマンションの更新で出るかもしれない。そしたら三ノ輪という街は、私にとって「年に一度しか行かない場所」ですらなくなってしまうんだろう。
人も縁だけど、街も縁だ。
一瞬だけ関わったり、人生のある時期だけ通ったり。そうやって縁のある街がちょっとずつ増えていって、記憶と結びついた場所が、白地図の上に枝を広げるように増えていく。歳をとるのは悲しいこともあるけど、それ以上に豊かなことだと信じたい。
妹の住むマンションを出ると、母と美味しい餃子を買ってそれぞれの帰途についた。
三ノ輪橋。
産休に入りたい妹には悪いけど、来年も来れるといいなぁ!
一年半だけ一人暮らしをしていた白金高輪も、五年ぶりに歩いて写真を撮ってみたいなぁ。
Sweet+++ tea time
ayako
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