何をするにも言い訳している。
誰にでもなく自分に、心の中でちょこちょこと。
「今日はお祝いだから食べていいことにしよう」「本代はケチらないことに決めてるから」「迷った時は買ったほうがいいんだよね」「毎回お化粧するのも肌に悪いし」「昨日髪洗ったから今日はいいや」「とりあえず今日は寝て明日からがんばろう」
そりゃもう生活の隅々までサイズも色々の言い訳に満ちている。
話は変わるけど、夫はソファでしょちゅう昼寝やうたた寝をしている。しかし自分では認めない。寝てるように見えてたかもしれないけど起きてたんだよスタンス。どうしようもなく長時間寝ちゃったときは「30分くらい仮眠しただけだよ」スタンス。２時間とは認めない。
そんな彼はパッと目覚めた瞬間、秒で「寝てるように見えてたかもしれないけど起きてたんだよ」ポーズを取り繕う。具体的に言うと、手からずり落ちていたiPhoneを持ち直して涼しげにスマホ画面を見つめる。しかしまた２秒で寝る。落ちる、落ちる、iPhone落ちる！というところでパッと目覚めてまた澄まし顔で持ち直している。
そんな夫であるがこのあいだ熟睡から目覚めた後おもしろいことを言っていた。
「さっき眠気が凄かったんだよ、眠る前」
当たり前である。眠る前にすごい眠いから人は眠るのだ。でもみんな一緒なんだなぁ。うたた寝にも無意味に言い訳をしたくなっちゃうんだなぁと私はひとりほくそ笑んだ。
前にも書いたけど、馬喰町に大好きな雑貨屋さんがある。正確には、あった。9月15日に閉店してしまったのです、愛するJAM COVER。閉店というか移転で、群馬の高崎に店舗を集中させてしまった。東京にはもう、ジャムカバーがない。
9月14日、閉店前日、私は最後のジャムカバーショッピングに向けて、士気を高めていた。下ろし立ての５万円を財布にしまって地下鉄に乗る。（ジャムカバーはクレジットカードが使えない）
ポーランド食器もセール対象になるかもしれないというので、気に入ったものを一気に買ってしまう可能性もある。リトルプレスも文房具もパッケージの可愛いお菓子や紅茶もけっこう高いワンピースも、いろいろ買っちゃう可能性がある。だって「最後のお買い物だから」「閉店しちゃうから」。言い訳は最大級のやつが用意されている。
果たして私から重い期待を背負わされた最後のジャムカバーは、ガラガラであった。お客さんはいっぱい来てたけど、もう移転の準備をだいぶ進めてるらしく、商品数が減っちゃったなぁという感じ。しょぼーん。しかも全然セールになってない。欲しいものはセール対象外。セールって、往々にしてそういうものだけどね？
でもこの際セールは関係ない。別に定価でいいからとびきり欲しいものを買えればそれでいい。でも５万円分もなかった。めぼしいものは旅立ってしまった。ポーランド食器はどれも可愛いように見えて私のストライクゾーンは厳密に線が引かれていて意外と狭い。絵のタッチがちょっとな〜とか紺色が前に出すぎとか、いろいろポイントがあって、前回みたいにビビッと胸を射抜かれるものはなかった。
前に欲しいなと思ったけど断念したアイスランドがテーマのリトルプレスはすぐに決まり。でももう一つくらい買いたい。だって「最後のお買い物だから」。立派な言い訳と滅多に出番のない諭吉５人が所在なさげに佇んでいる。
私が目をつけたのは栗の木でできた小さなお椀。でもこれけっこう高い。高いと言っても別に1000円台であるが。しかし「100均で売ってるよ」と夫に言われかねない。自分で働いたお金だし一人で来たのに、私は最後の隙間を埋める小さな言い訳を用意した。
「ちょうどヨーグルト入れ、欲しかったんだッ！」
晴れて手に取りお会計した商品がこちら。
アイスランドがテーマのリトルプレスと、栗の木でできたお椀。愛するジャムカバー、最後の戦利品である。
栗の木でできたヨーグルト入れ、可愛いでしょ？このフォルムがいいよね？100均には売ってないよね？食器は基本的に二つセットで買うって決めてるから、いいよね？
誰にも何も言われてないののに、なぜかドキドキしながら日記を買いている私。
いっぱい言い訳しながら買った栗の木のお椀とアイスランドのリトルプレスで、いつものように、ひとりお家カフェを開催した。食器棚から、本棚から、取り出すたびに私は、馬喰町の雑居ビルに入っていた大好きな雑貨店のことを思い出すだろう。
えっと、パン屋さんで、サンドイッチの他にクロワッサンもトレーに入れたとき。
（言い訳の規模も小さい）
皆さん、どんな言い訳ライフを送ってますか？
Sweet+++ tea time
ayako
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