「Oggi」11月号を求めてさまようオッジェンヌの憂鬱

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「Oggi」の11月号が手に入らないらしい。

この一文を見て「そうなのそうなのッ!」と思う人が読者の中にどれだけいるであろう。

簡単に説明すると、「Oggi」は「オッジ」と読み、アラサーOL向けのファッション誌の名前である。(OLは死語か…オッジはキャリアウーマン志向のようだし)

公式には「アラウンド30歳からの働く女性」向けで「おしゃれもキャリアも」という欲張りスタンスのようである。大変そうだ。

もちろん私などターゲット層であるはずもなく、この雑誌を愛読しているのは妹(都内で働く自称キャリアウーマン・27歳)である。妹によると、オッジを愛読し、そのファッションやライフスタイルを実践する女たちを「オッジェンヌ」と言うらしい。言うまでもなく、パリジェンヌを模している。

*・*・*

 

「お母さん、お願いがある」

オッジェンヌからの不吉なラインが、家族のライングループに投稿された。

このあとにはだいたい「カードの支払いが間に合わなくて」、「お給料日にすぐ返すから」云々のお金の無心が続くのを私は知っている。(「お姉ちゃん、一生のお願い」という出だしの恐ろしいラインを、今までいったい何通もらったであろう…)

だが今回は違った。

「Oggiの11月号がどの書店でも売り切れで、地元の本屋を見てほしいッ!」

冒頭の話になるわけである。

つい二日前に出た雑誌がもうどこにもないなんて、そんなことあるだろうか? 

だが妹が銀座の本屋でオッジの在庫をきいたら完売、その後ろにならんでいた女3人もオッジ目当てだったらしい。凄まじき東京オッジェンヌたち。その後自分の住んでいる下町のコンビニをすべて回ったが全滅だったらしい。

試しにツイッターで検索してみたら、「Oggiがどこにもない…」「近所の本屋スーパーコンビニ片っ端から電話したけど全滅」「一冊だけスーパーにOggiが残ってたッ!」「Oggi探して三千里…」と全国のオッジェンヌたちがご乱心のようであった。

どうやら今月号のオッジは付録がグッチのノートと豪華で話題だったらしい。妹はノートはいらないのだが、どうしても雑誌が読みたいという。オッジェンヌを維持するのにテキストは必要不可欠らしい。

「メルカリで買えば?」

母がスクショを送ってきた。噂のオッジ11月号はメルカリにずらりと並んでいた。もちろん高値で。付録ノートだけで2,000円という値がついているのに、付録を抜かれた雑誌だけなら300円である。凄まじきグッチの威力。

「雑誌が欲しいだけなら、ちょうどいいじゃん」

しかし妹はメルカリで買うのはプライドが許さないという。どうしても新品、定価を見つけ出して手に入れたいらしい。

「12月号じゃだめだの?」

私も母も当然の質問をした。

「オッジェンヌとしては、季節の変わり目の11月号はかなり重要なものなので、何としても入手したい…」

とのことであった。秋冬のファッショントレンドをいち早く知る必要があるらしい。いつも金欠なのに秋冬のコーデなんて気にしている場合ではないと思うのだが。

*・*・*

 

だがなんのかんの言って優しい母と姉である。協力しようという話になった。

妹としては千葉の地元がいちばん可能性濃厚だという。母の住む千葉県某所は「オッジェンヌから最も遠い場所」だと認定された。(失礼すぎるだろう)

翌日、母は朝から近所のスーパーやドラッグストアの雑誌コーナーを周り、バスに乗って駅に向かい本屋やコンビニを何件も回った。「全滅です」とラインに実況中継が入る。妹はスタンプで絶望している。

私は翌日東京駅周辺に行く予定があったので、いちおう見てみると申し出たが「東京・丸の内はオッジェンヌの巣窟…」ともはや期待はできない地のようである。

それでも夫と清澄白河・森下の地味めな本屋からスタートし、バスに乗って東京・丸の内のコンビニや本屋10軒以上を回ってオッジを求めた。だがもちろん全滅であった。

妹は妹でコンビニをはしごしてオッジを探し求めて週末を終えたらしい。

さて、この一件からわかること。

それは登場人物全員がどう考えても暇人ということである。

幻のオッジを求めて親族一同で右往左往する10月最初の週末。オッジェンヌとはもっと優雅なものではないのだろうか、という疑問がよぎらないでもなかった。

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いまだ手に入らず、オッジェンヌはバイブルを失ったまま1ヶ月を過ごすことになりそうな模様。

おまけ

東京KITTEのスパイラルマーケットで、妹の大好きなイラストレーターおかべてつろうさんのポストカードを見つけてしまった。二人揃ってずいぶん前からファンなのだが、なかなか手に入らなかったのだ。

今度あったら渡そうと思う。

ああ、オッジェンヌの姉はいつも優しいのである。

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Sweet+++ tea time
ayako

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