仲のいいカップルや夫婦というのは、共通の趣味があったりするらしい。一緒にスノボーしたり、一緒に写真を撮ったり、一緒にサッカー観戦したり。
昔つとめていた会社の先輩は、会社携帯の着信音がアニメソング、デスクにフィギュアという正真正銘のオタクであったが、同じくオタクの美人さんと結婚した。ふたりで漫画やアニメや声優のことで毎日盛り上がっているらしい。すごい。
雑誌や本を見ていると、夫婦で一緒にお店をやっている人もいる。自然あふれる静かな場所で素敵カフェを営んでいたりすると、ああ、大変憧れる。
突然話は変わるようであるが、夫はくじ引きへの愛が半端ない。
「ayakoさん、宝くじ買ってきたよ…!」
「トトビッグが当たったら明日会社を辞めるよ…!」
そう告げる夫は、当選の未来を予見しているかのようにニヒルな笑みを浮かべている。だが当たったことはない。ちびまるこちゃんのスクラッチくじで200円が当たったことならあるが。200円…
いうまでもなく、月曜日の朝、夫はとびきり暗い。家でゴロゴロするのとラーメン、そして猫と柴犬をこよなく愛する男である。
さて、このブログをよく読んでくださっている方はご存知と思うが、私たち夫婦はけっこう仲が良い方である。
喧嘩らしい喧嘩をしたことがないし、休日もいつもふたりで一緒にいる。これは単に、お互いあまり友達がいないからという可能性もあるが。
「一緒に仕事ができたらいいのにねぇ」
「そうだよねぇ」
よくそんなことを言い合いながら、ソファでゴロゴロしている我々である。
「早期退職して、ayakoさんと一緒にお店とかやりたいよ…」
「そうだよねぇ」
この会話も何十回目である。私たちは夢想している。ふたり一緒に家で仕事ができたり、お店ができたらどんなによいだろう。夫も会社を辞められるし、ふたりで一緒にいる時間も増える。完璧なプランなのである。
「その場合、どんなお店にしよう?」
夫はウキウキしていた。
「そうだねぇ、私はやっぱりアクセサリーのお店だなぁ。アトリエを兼ねたお洒落なアクセサリーショップを開きたいなぁ」
私はきらびやかな刺繍アクセサリーが並ぶ店内を思い浮かべた。緑豊かなところで、窓ガラスには陽光が反射し、キラキラとアクセサリーが輝く。私はアンティーク風の洒落たテーブルで、静かに作る。Sweet+++ tea time の実店舗である!
すぐ隣からは、美味しいコーヒーの香りが漂っている。カフェが併設しているのだ。無口な夫が淡々と入れるコーヒーは味わい深く、オーガニックティーの種類も豊富だ。
刺繍をする私に、カフェを経営する夫。そこにはただただ静かな時間が流れている…
私の脳内では、妄想がパンのように膨らみ続けていた。
すると、夫が自信たっぷりに言った。
「そしたら、僕は煮豚屋をやるよ!」
共通の趣味なんて、夢のまた夢である。
Sweet+++ tea time
ayako
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