金曜ロードショー、「となりのトトロ」を見ました。
大人になってちゃんと見たの、何年ぶりだろう?
最初は、全然乗り気じゃなかったんですよね。いろいろやることあるし忙しいし。トトロ見てる場合じゃないし。見始めた夫のとなりで、"仕方なく"画面を眺めてました。
数分後、大泣きしてましたよね。
(私は大変涙もろいタイプである)
切ないです。こんなに切ないんですね…
私は妹がいるので、さつきとメイが自分の子ども時代と重なって見えました。いつも一緒に遊んでいました。
今は別々の大人って感じだけど、子どもの頃って自分が「お姉さん」という感じが、もっとしていた気がする。さつきがお姉さんしているのを見ていると、頑張ってるなぁって思いました。
*・*・*
大人になると、同じ映画を見ても、映像の向こうに見えるものが変わったりする。
お母さんが入院していて、病気が本当に良くなるのかわからない・・・寂しさと不安と心細さと、それを吹き飛ばすような明るさ、楽しく毎日生きようとする感じ。
美しい映像からじわじわと伝わってきて、心に染みました。
お見舞いに訪れた七国山病院での一コマ。入院中のお母さんがさつきの癖っ毛を櫛でといてあげているシーンだけで、もう、涙腺大崩壊でした。
わかるなぁ。私も小さい頃はゴワゴワの髪の毛で、不安もいっぱいあったなぁ。そしてやっぱり、"お母さん"が大好きだったなあ。
*・*・*
トトロは、子どもの夢を体現する存在なんだと思った。
雨の中、バス停で父親を待つ心細い夜に、現れるトトロ。ダイナミックな動きと冗談みたいな猫バスに、二人が笑顔いっぱいになる。
「おうちの庭が森になったらいいなぁと思って木の実を植えました」とさつきは母へ手紙をしたため、メイも毎日土とにらめっこ。いつ芽が出るんだろう?いつお母さんは帰ってきてくれるんだろう?
そんなとき、夜中に現れ、おまじないで芽を出し、大木にまで成長させてくれるトトロ。夜空を思い切り飛び回ってくれるトトロ。
メイがいなくなって見つからない。どうしようもなくて、心がぐちゃぐちゃになって疲れ切ったさつきを、猫バスに乗せてくれるトトロ。
メイのところに、そして母のいる病院まで連れて行ってくれるトトロ。
トトロは幼い二人の不安を抱きかかえ、ユーモアいっぱいに夢を見せてくれる存在だ。
朝目覚めて、大木は忽然と消えていたけれど、ちゃんと木の実が芽をだしていた。
「夢だけど夢じゃなかった!」とはしゃぐさつきとメイ。
そう、夢だけど夢じゃない。
現実の、初めの一歩を、踏みださせてくれる存在なのだ。
*・*・*
子どもの世界は、大人が考えているより大変だと思う。
少なくとも私は、子どもの頃の方が不安も悩みもいっぱいあったような気がする。どう考えても平凡で恵まれた子ども時代だったのに、である。
大人になってからの方が、ずっと自由だし気楽だよなぁ。
自分で解決しきれないこと、自分では変えられない環境。子どもの方が、どうにもならない不安や心細さと隣り合わせだと思うのだ。
*・*・*
9月1日は、子どもの自殺が断トツに多い日だという。
そんな記事を目にするたびに、心がギュッとなる。
どうしようもない気持ちのとき、子どもたちみんなにトトロが見えたらいいのに。哀しみのとなりに、心細さのとなりに、トトロがいて、世界の色を変えてくれたらどんなにいいだろう。
ふかふかのからだにしがみついて、夜空を飛んだり奇跡を味わって。
夢だけど、夢じゃない。
目が覚めたら、ちゃんと小さな芽が出ているように。
映画の風景に、紫陽花とタチアオイの花が描かれていました。
真っ青な空に入道雲も。
「となりのトトロ」の季節は、私の大好きな初夏の頃だったんだなぁ。
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ティッシュの玉を4つも作り、泣きながらテレビを見入っている私を、テーブルから緑くんがじっと見ていた。
クールでシュールな視線を感じました。
謎のインテリアの、本領発揮である。
Sweet+++ tea time
ayako
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