私はおしゃれなものが好きだ。
おしゃれな街もおしゃれなカフェもおしゃれな雑貨も大好きだし、流行ってると知ればそれなりに試したくなるし(ポケモンGOはまだやってないけど)、行ってみたい場所もいっぱいあるし東京が好き。
雑誌を開けば「今度"ぜったい"行かなきゃ」と思うカフェや雑貨屋は無数にあって、表参道とか自由が丘とかおしゃれそうな場所も、同じ東京なんだから現実に行ける。今すぐにも行けるし、今週末にも行ける。
でもね、行かないんだな。
思ってるより、全然行かない。
「代官山のおしゃれなカフェ」は、永遠に雑誌の中のもの。
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晴天の心地よい休日が、神様から差し出される。
予定は何もない。仕事の付き合いも気乗りしない結婚式の二次会も、何にもない。ひとりででかけてもいいし、好きな人と一緒でもいい。Facebookで誇れるようなやつじゃなくていい。誰にも遠慮せず、自由に過ごしていい。
そんな休日に、あなたは何をする?
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5月の晴れた休日、たいていの休日がそうであるように、私たちはやはり暇だった。
新大橋の下町度100%な、非インスタグラム的だけどめちゃくちゃ美味しい店で、とんかつ定食を食べてから、満腹の体で自転車をこぎ、近所の木場公園に行った。
特に何があるわけでもない、ただただ広い公園だ。
うららかな初夏の光が葉っぱを透いてコンクリートの地面にぽたぽたと落ちていてた。鳩はいつもどおり、私たちがギリギリまで近づいても逃げることなく悠々と歩いている。
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公園の中には、川があって橋がある。
ジョギングしている人がいれば、デートをしている人もいる。ベビーカーを押して歩く若い家族も。
橋の上から振り向くと、初夏の青い空の真ん中に、細い針みたいなスカイツリーが霞んで見える。
私はこの風景がわりと好きで、なぜか行くたびに同じ写真を撮っている。わかっているのに、行けばきっとまた撮ってしまう。
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それぞれが、思い思いに過ごしている他愛ない休日の風景。
BBQの香ばしい匂いとか、お弁当の生ぬるい匂いが漂ってくる。公園のグリーン一色に、みんなのカラフルな服の色がよく映えて見える。
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私はこんなふうに、公園で何をするわけでもなくダラダラ過ごすのがけっこう好き。
芝生でゴロゴロ、本を読むのも好き。ビニールシートを買ってあるのに、なぜかいつも忘れてしまう。たまにちゃんと持っていくと、そういう日に限ってずっとバトミントンをしていたりする。
そういう休日がけっこう好きだし、そういう休日がけっこう好きな自分に本当は気づいている。
「いつか行きたい」と思っているおしゃれなカフェや雑貨屋に行けたかもしれない休日を、私はこうやって過ごしている。だから、いつまでたっても「行きたいところリスト」が増えるばかりなんだな。
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「行ってみたいところリスト」とか「20代でやっておきたいことリスト」のチェックボックスが埋まらなくても、だから気にしなくていい。
やりたいことが全然できていなくても、目標が達成できていなくてもいい。
雑誌の中で憧れたカフェに、今週末行かなくてもいい。
週末は、おしゃれじゃなくて、全然いい。
だって本当は近所の公園でゴロゴロするのが好きなんだから。
一番好きな季節、夏へと続く緑と光の粒。カラフルな5月の木場公園。
写真を通して、ファインダーを覗いた3か月前の自分の心の感じが伝わってきた。
真っ黒になっちゃったけど、真ん中に鳥がいた。嬉しくて、何枚も同じ写真を撮っていた。
気の向くままに、誰にも見せなくていい、自分だけの時間を過ごせたらいい。
Sweet+++ tea time
ayako