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「美しさ」、そして名前のつかない才能たちを思う / 林真理子『ビューティーキャンプ』

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勉強ができる。運動ができる。

息苦しい学校の教室のなかで、わかりやすい才能だ。

走るのが速い。作文が入賞する。計算が速い。絵が上手い。ピアノが弾ける。歌が得意。サッカーができる。

いいだろう。どれも学校で立派な「特技」や「才能」のひとつとして認められている。

「特技がなくて心配です」

その昔、「小学生の自分の子どもにこれといった特技がないからちょっと心配だ」という投稿をSNSで見たことがある。

国語算数理科社会、体育音楽図画工作。学校の枠組みで褒められるような「特技」や「才能」って、どれほどのものだろう? そしていかに偏ったものなんだろう?

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 林真理子著『ビューティーキャンプ』を読みました

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私は普段から林真理子さんのエッセイを読むのが大好きなんだけど、ビューティーキャンプは発売したら絶対読みたい!と思っていた小説であった。

*・*・*

ビューティーキャンプとは、ミスユニバース日本大会を前にして、ファイナリストに選ばれた美女たちを集めて行われる強化合宿。私もニュースなんかで取材を見たことがある気がする。

小説では、ニューヨークの本部から送られてきたトップディレクター、強烈な女エルザ・コーエンが、12人の美女たちに厳しく冷たく、時に情熱的に指導していく。

日本の美人と欧米の美人は違う

美しい人と書いて美人。だがその中身は国が違えばまったく違うことは、私たちも感覚として知っている。

簡単に言えば…

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そうである。

そしてエルザもそれを熟知していた。

日本人が好む「上品なお嬢さん的美人」では世界大会で勝ち目はない。

例えば痩せ型のファイナリストに対して、容赦のないエルザはこう言い放つ。

あなたは痩せすぎよ。日本の女性はたいてい痩せ過ぎだけれども、それでは人にアピールすることは出来ない。女にとっていちばんの魅力は、セクシーでゴージャスということなんですもの。

スレンダーな体型の子にはこうである。

どこに胸があるの? どこに曲線があるの?(中略)日本の審査員はあなたの体が好みかもしれないけど、世界大会では一次予選で落とされるわね。

そしてなんと、「すぐに豊胸手術を受けなさい」と言い放つのである。

私など、まったく存在価値のない恐ろしい世界である。

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エルザのジレンマ

だがエルザ自身も常にジレンマに苦しんでいる。

自分がどんなに"世界に通用する美女"を育て上げても、ミスユニバース日本大会の審査員は日本人であり、彼らがエルザの一押しの子を選んでくれるかは分からない。最後まで油断ならない戦いなのである。

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「美しさというのは不当に貶められている」

私が唸ってしまったのは、エルザのこの言葉だった。

世の中は仕事で成功した女や才能のある女は手放しで称賛するわ。それは自分が努力して勝ち取ったものだと考えられているからなの。もし男が近くにいる美人を誉めたたえてごらんなさい。たちまち他の女たちから大ブーイングよ。女を外見だけで判断する、頭が空っぽの人間だと思われるわね。

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「ちょっと綺麗な子」とか「ちょっと可愛い」程度ではない、本格的な美をもって生まれた人には、想像以上の苦労がある。 モデル並みの高身長や、日本人離れした美しさを備えたファイナリストたちは、それぞれに暗い過去があり、コンプレックスも抱えている。

エルザは続ける。

私はね、美しさというものが素晴らしいものだということを世間に知らせたいの。美というものに、知性と行動力と心のやさしさがついたら、これほど強いものはないわね。

「美しさ」も才能である

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私はこの小説を読みながら、「美しさ」もまた才能なんだと思った。

スポーツや他の分野と同じように、日々極限の努力をして一流レベルへと磨きあげてゆくもの。お金も時間もすべてを注ぎ、努力するもの。

そのレベルの美が、このビューティーキャンプで語られる「美しさ」だった。

キャンプの終わりに、エルザは言う。「美しさは、賢さよりもずっと価値がある」と。なぜなら美しさは、多くの人たちを幸福にするからだと。

ずば抜けた「美しさ」で傷ついてきたファイナリストたちに、エルザはそれが本当は人生をずっと生きやすく、誰かを幸せにすることができる価値あるものなのだと伝えている。特に残虐に、時に気まぐれに。

「美しさ」と、名前のつかない才能たち

エルザの言葉を読み返しながら、私は思った。

多くの人たちを幸福にする、名前のつかない才能たちのことを。学校の教室では、決してスポットライトを浴びることのない才能たちを。

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それはなんだろう、美しさだってそうだし、例えば商売の才能かもしれないし、色のセンスかもしれない。思えば学校には、私の大好きな写真やカメラの授業もないし、授業科目になっているのはごくごく限られた一部の世界だ。

何でかわからないけど人に好かれる性格とか、会話の間の取り方とか、人の名前をすぐに思い出せる記憶力とか、言葉にできないいろいろ。

そんな「名前のつかない才能」や「学校の科目から抜け落ちた特技」たちが、実は私たちの人生をずっと生きやすくしてくれる。

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*・*・*

冒頭の「自分の子どもにこれといった特技がないのが心配」というSNSの投稿に、私は伝えたかったんだ。何の心配もいらないんだと。

小学校で認められる"特技"や"才能"なんて、どれほどのものだろうって。

でも、その時はただタイムラインに流れちゃって、なんだかモヤモヤしていたのでここに書いてみた。

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言葉も写真も、小さな思いをのせて。

今日の一冊

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林真理子さんの『ビューティーキャンプ 』でした。結局誰が優勝するのか? エルザの駆け引きに最後までハラハラドキドキして面白かった…!

久しぶりに本の感想を書いたかもしれない。

次は長野旅行記を書く予定です。

「また読みにきてね」

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ayako

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